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責任、個人のアジャイル性、その他の親密なコミュニケーションのアイデア

うまくいっているアジャイルなチームの特徴は、プラクティスではなく主に文化にある。この考えは多く(ほとんどと言ってもいいかもしれない)のアジャイルな分野で当てはまるように思われる。組織的変革の世界で有名になった Christopher Avery 氏は Responsibility という言葉を再定義し、その考え方を人々に伝えるという作業に取り組み、その成果をアジャイルプラクティスに注いでいる。個人のアジャイル性はアジャイル導入のカギなのだろうか?

Mike Griffiths 氏(source)が Avery 氏との会話についてブログで次のように述べている。

私たちはモチベーションのことや自分が何かを命令する立場にないような同僚たちをどのように動機付けるかということについて議論した。上司はアメとムチを使ってモチベーションを生み出そうとするが、それではあまり強い効果は得られないし長続きもしない。社員はそのような扱いを受けるのに段々疲れてきて、そういうシステムを壊す方法を探すようになる。

それに対して Christopher 氏は「内在的モチベーション」というその人の内面から生まれてくるより力強いモチベーションについて語った。みんな成功するチームのメンバーでいたいのだが、どうやってそういうチームを作ったり見つけたりするのかがわからないのだ。その人たちにとって「成功」とは何を意味するのかを理解し、その「成功」を自分の周りに作り出すことに、秘密のカギがある。実際問題としてこれは「チームの何が彼らのためになるのか」と問うということだ。たとえば、彼らがプロジェクトから何を学び、(給与以上の)何を得たいのか、ということである。そしてそれを問うたら、次にその彼らの求めるものをチームの中に生み出すのである。

最初にこれを聞いたときは、ちょっと奇妙で感覚的すぎるのではないかと思った。週末をどのように過ごしたのかを尋ねるのもそうだが、彼らがプロジェクトに何を求めているのかを尋ねるのは、あまりに個人的な話で、プライベートに土足で踏み込むような感じを受ける。だが、考えてみるとプロジェクトというのはつまるところメンバー全員が関わっているものだ。個人的なこととは、彼らが週末に妻(夫)と何をしたのかというようなことを言うのである。

A. Singh 氏(source)は個人のアジャイル性について 2007 年 6 月のブログでこう述べている。

私の見たところ、個人のアジャイル性が欠けているせいでこれらの利得が具体化されないことがよくある。ここでいう個人のアジャイル性とは単純に、価値のあるものを認識すること、それを使うための行動や考え方に適応することだ。

Singh 氏は『 The Goal 』(邦題:『ザ・ゴール』)と「制約条件の理論」の Eli Goldratt 氏や『 The Fifth Discipline 』(邦題:『最強組織の法則』)の Peter Senge 氏、そして Responsibility に関する Christopher Avery 氏の仕事を引用している。

私は Gemba Systems(source) の Ashley Johnson 氏と共同で Agile Journal に Personal Agility for Agile Adoption(source) という記事を書いた(やはり Avery 氏や Covey 氏などを引用している)。

アジャイルが広く知られてくるにつれて、トラブルをかかえた多くのチームが自分たちの問題を解決するためにアジャイルプラクティスを採用するようになっている。アジャイルの導入に関して私たちにヘルプを求めてくるほとんどのクライアントは、プロセスとツールを使ってそれを実現したいと思っており、機能不全に陥っているチームほど、個人とチームの相互作用に着目することを拒もうとする。生産性と価値の驚異的な向上を自分たちの所属する組織に示すような最も効率的なチームでは、個々のチームメンバーが担当作業をもち、責任を持って行動し、そして個人的なレベルで変化を認識しそれに対応するよう訓練されていることがわかった。これらの個人がアジャイルプラクティスを身につけているのは、彼らが意識的にそのような決定を下したからである。彼らは物事をうまくまわすために必要なことをするのだ。

では Avery 氏は何と言っているのだろう。彼は自分のブログでアジャイルの原動力と手法を比較し、(source)原動力が手法に常に勝利するという形勢について語っている。

 アジャイルツール(手法)と個人のアジャイル性(原動力)を軸にとる典型的な 2×2 のマトリクスに評価結果を配置することを考えてみよう。私がこれまでに見たところ、目下、ほとんどのアジャイル導入の努力は、ツールをインストールしプロセスを教えること(手法)を通じて、図の領域 1 (アジャイルツール、個人のアジャイル性、共に Low )から領域 2 (アジャイルツールが High 、個人のアジャイル性が Low )へ移動しようとしている。それは非常に痛みを伴う結果に終わる。そうではなく、企業がリーダーシップの育成や私が個人のアジャイル性と呼ぶ人々のアジャイル性の原動力に目を向ければ、その企業は領域 1 から領域 4 (アジャイルツールが Low 、個人のアジャイル性が High )へと移動する。そこから改めて手法を導入するのは簡単だし成功もしやすい。

Avery 氏やその他の人々が気付いたのは、親密なコミュニケーションのスキル(アジャイルの原動力)のほうが TDD や Stand-Ups などの手法よりもずっと重要であるということだ。あなたはそれに同意するだろうか?

原文はこちらです:http://www.infoq.com/news/2008/02/personal-agility

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