長い間、アジャイル認定の話題はコミュニティで何度も繰り返し議論の中心となっている。これは望ましいものなのだろうか?可能なのだろうか?茶番、詐欺なのだろうか?近頃、認定に反対の主張をする議論の波が起きているが、それは主に、そのような「アジャイル認定」を与えることを主張する新しい企業に対する反対である。
Elisabeth Hendrickson氏は、このアジャイル認定批判の波を最初に起こし、この話題に関する自身の考え(リンク)を投稿した。記事の中で彼女は、認定がアジャイル開発を構成するものの大部分に与える価値はほとんど無いという意見を述べるとともに、いつどれほど認定が役に立つかを明らかにしている。過去の認定プログラムに関する自身の経験をまとめ、彼女は次のように述べている:
私には、ソフトウェアのテストができることとISTQBの認定を持っていることに、プラスの相関関係があると証明する根拠があるのかがはっきりしないのです。(一部の人たちはマイナスの相関関係があると主張しています。私はそうはしません。)
むしろ、私は相関関係は無いのではないかと思っています。平均すると、認定を受けたソフトウェアテスターが認定を受けていないテスターよりもテストの腕が優れているとは、私は思っていません。
そしてテスターの認定と能力には相関関係があるとは考えていませんので、私はソフトウェアテストの認定には価値を認めていません。トレーニングの収益を増加させるために作り出された、マーケティングの仕組みであると私は考えています。
しかし人々はこのばかげたものを信じ込んでいて、認定につながる講義は、認定につながらない講義よりも売上を伸ばしています。
私がアジャイル認定を与えない理由(リンク)という記事でJim Shore氏は、アジャイル認定のリスクと、なぜそれに反対を主張するべきなのかについて語っている。彼は、人々が認定を好む理由として考えられることを論じ、その現実に関する結論をつけ加えている:
もしあなたが平凡でいることに興味があるのなら...これら(前述の点)は認定が好まれる大きな理由です。そこに「上質のトレーニング」あるいは「証明された能力」を目的とするものは何もありません。全然違うのです。認定は能力を目的としたものではありません。これは安易な逃げ道を目的としているのです:雇用主にとっては、履歴書をフィルターにかける簡単な方法です;従業員にとっては、注目されるための安易な手段です。そしてひとつ確かなことは、安易な方法を求める人々や企業は、偉大にはならないということです。
近頃のこの議論の多くは、新たに発表された組織であるWorld Agile Qualifications Boardへの反対に根ざしている。ここで参照している様々な記事で説明されているように、「認定アジャイル開発者やテスター」を作る能力があるというこの組織の主張は、多くのアジャイルコミュニティがアジャイル認定プログラム反対する中心にあるものである。要するに、「一夜にして」人々をアジャイルにする、と主張するプログラムに人々が信頼をおき、それを追い求めることへの懸念であり、どんな経験豊かなアジャイリストでも確認できる何かというのは不可能である。
Gojko Adzic氏はこの点に関する自身の意見を述べ(リンク)、さらに、この特定の例がどれほど彼に嫌な思いをさせているかを詳細に記している。:
まず第一に、彼らの最初のトレーニングコースは、Lisa Crispin氏とJanet Gregory氏の非常に優れた著書であるAgile Testingを、著者を賞賛することなく完全に盗用したものです。コースの概要は文字通り、この本の目次をウェブページに一字一句違えずにコピーしています。
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二つ目はこの組織の名前で、本当に神経に障ります。世界の認定ですか?はいはい、そうですね。
...
こんなに積極的な計画があって他の人たちの著作を盗用しているのですから、大失敗の確かな原因となるでしょう。
最初の点に関しては、Lisa Crispin氏が早い段階でYahooのAgile Testingのグループに公式に声明を出し(リンク)、自身の著作をこうした目的で利用することへの不快感とともに、認定プログラム全体に対する抗議を明確にしている。
もしかすると、World Agile Qualifications Boardの主張に対する様々な反響の中でもっとも率直なのは、Michael Bolton氏が、こうした組織が主張しかねないことにコミュニティの多くの人々が反対する理由の核心を明らかにしたものである(リンク):
私の意見では、この全てはWAQBが詐欺であり不正な金儲けである兆候を示しています。私の意見は、経験豊かなテスターのものであり、いくつかのテスティングコミュニティのメンバのものであり、テスティングのコンサルタントの教師のものです。私は、WAQBはさらに悪いことに不正な金儲けであり、ましてやなおさら見え透いていて、さらに通常の認定の仕組みよりも露骨に人々からお金をとる方法であると考えています。誰でも自由に決断することが出来ますが、こうした人たち(あるいはこの人物)によってスリを働かれることは、愚かなことだと私は考えています。そしてみなさんは愚か者ではない、そうですよね?
はっきりさせておくが、World Agile Qualifications Boardそれ自体の価値や合法性を評価することは、InfoQの意図ではない。このニュースのねらいは、それによって引き出された議論を強調することと、この議論が我々のコミュニティにおけるアジャイル認定の話題全体とどう結びつくかを要約することである。我々は、みなさんがこれらの情報源はもちろん、ここで参照していないものも読み、議論にこの件に関するみなさん自身の意見を加えることを期待している。言い換えれば、みなさんはどう思われるだろうか?
以前InfoQに掲載された記事:Agilists Certifying Agilists, "We Vouch For..."(アジャイリストがアジャイリストを認定する 「We Vouch For...」 )(参考記事)