政治は全ての組織にとって欠かすことができない。政治的な手順は、人と組織のふるまいである。一般的に技術的な人々は政治が苦手である。なぜなら技術的な問題はほとんどの場合、厳格で白黒はっきりつけやすい。しかし政治的な問題は必ずしも簡単に判断がつくとは限らず、灰色の影がつきまとうからだ。Scrum Development groupの最近の議論の中で、Joseph Little氏は組織的な政治を扱う上での見識を共有した。
Joseph氏は、組織内の政治は多くのアジャイルチームが考えているほど難しくないと述べた。政治を乗り切るために、下記にあげる行動を彼は提案した。
- ボクシングでは、最初のパンチで相手をノックアウトすることは期待しない。第4ラウンドでやっつけようと準備する。そこでたくさんのパンチを組み合わせる。
- 真実には抵抗しがたい。(そう。みんな真実を拒否し、しばしば発言者をやっつけようとするけれども。)真実が繰り返し扱われる方法を見つけること。Scrumは真実をもたらすものだ。
- もし大勢の人が一緒にマネージャーの部屋を訪れたら、マネージャーが抵抗するのは難しい。(あなたの方に真実があり、アイディアがうなずける内容であるようにすること。)
- 障害を除去することを正当化すること。前よりもずっとよい費用便益分析を行いなさい。これらのことをちょっとした試みとしてやってみなさい。(例えばやってみた結果は後で示せばよい。)
- 正当化の理由として、次のものを含むこと。製品の価値がより高くなること、チームのベロシティがよりよくなること、より速くお客さんに使ってもらえるようにできること、などなど。あなたの改善をこれらのキー事項と関連付けなさい。
- 順序立ててあなたの提案を説明すること。その提案が明らかに正しいと分かれば、唯一の疑問は「数字が正しいってどうして分かるのか」ということだけだ。マネージャーが賛成したいのは、明らかに正しいことだけなのだ。
- 試してみるよう頼むこと。テストサンプルが結論を出せるほど十分あることを確かめよう。
Dave Rooney氏は、上記の点はすべて道理にかなっているが、正当化の理由に加えて、チームにとって動くソフトウェアを作り続けることが必要だと述べた。チームは政治の争いで勝つために、限られた時間内で実験を行い、その結果を示すデモを行うべきだ。
Eric Deslauriers氏は政治を扱う上で一番いい方法は事実を述べることだとさらに繰り返した。彼はマネージャーに、よりよいコンピュータを使いたいという、彼の要求が無視されてきたおもしろい例を引用した。
私は粘り強い人で居続けた。同僚の一人が一週間休暇に出ることになっていた。私は彼に、休暇中彼の新しいPentiumのマシンを使えないか尋ねた。彼が休暇に行く直前の一週間の私のタスクと実績を記録しておき、私が彼のマシンを使っている間、どれだけ時間を節約したか記録した。そしてコンパイルなどで座って待っている時間、会社がどれだけ無駄をしているかを計算した。数週間後、私は新しいPCを手に入れた。
Joe Marasco氏は、技術的な組織における政治についての彼の視点を話した。Joe氏は技術的な人々は技術力がが政治の場では役に立たないので、政治に関しては神経質になっていると示唆した。Joe氏によれば,
単純化しすぎているかもしれないが、技術的な人々は技術的な利点だけ、もしくは技術とビジネスの目的を混ぜたもので決定されることを好むといって間違いない。彼らがしばしば激しく反応するのは、様々な議論や交渉の中で彼らが見るごまかしだ。 ごまかしは、自己権力の拡大や個人的な利益の追求によって特徴付けられることの多い、人間のふるまいの暗く醜い部分に関係するものだ。
Joe氏は、課題が純粋な技術の領域から飛び出し、客観的に解決できなくなると、政治との連動が必要になると提言した。
正当な政治的課題の例として、市場や、顧客満足、ビジネスインパクトなどを決定することが含まれる。客観的な技術的特徴をこれらの分野で突き止めることはさらに難しいので、政治的な議論を含めて議論することが必要だ。
主観的な状態にあるためのキーは、よい政治の中に巻き込まれることだ。それは合意形成や、事実調査、教育、知的で正直な決定をすることだとJoe氏は提言した。また技術的な人々を、陳情活動や決定を遅らせることなどの中立的な政治や、嘘やいじめ、共謀など悪い政治から遠ざけるように助言した。
議論の根元的なテーマによって伝えているのは、政治がいかなる組織においても明らかな構成要素であるとはいえ、アジャイルチームにとってキーとなるのは、提言や決定が良い政治による事実や合意、その他の特徴に基づいていることだ。