新しくなったロゴを掲げて,パフォーマンスと安定性の向上した Visual Studio 2010 Beta 2 が昨日デビューした。2010年3月22日の RTM (Release To Manufacturing,製造工程向けリリース) に向けての準備がこれで整った。ただし F# と Rx (Reactive Framework) の統合は行われているが,Azure Tools についてはまだ作業中だ。
MSDNユーザ向けに先行リリースされていた VS 2010 Beta 2 が今回,すべての人々を対象に提供される。次のリストはその機能と改良点を整理したものだ。
- Beta 1 よりも安定性が向上
- WPF GUI を中心とするパフォーマンス向上
- WPF テキスト描画の大幅な改善
- SharePoint 用プロジェクトテンプレートおよびデバッグ機能
- Windows Azure Tools 用テンプレート
- Sliverlight および WPF でのドラッグ・アンド・ドロップ バインディング
- すべての VS エディションに TFS が付属,小規模インストール用には開発者のマシン上でも動作する TFS Basic を提供
- クライアントプロファイル使用時の .NET フレームワークのサイズを 81% にまで縮小
- .NET での DLR 提供により,さらに多くの言語をサポート
- サイド・バイ・サイド インストレーションによる .NET 3.5 との後方互換性
- エディション構成の簡略化
エディション数は VS 2008 の9つから,Windows のような Professional,Premium,Ultimate の3エディションの構成になった。 価格は次のとおり。
- Ultimate + MSDN - 新規 $11,924,更新 $3,841
- Premium + MSDN - 新規 $5,469,更新 $2,229
- Professional + MSDN Professional - 新規 $1,199,更新 $799
- Professional (小売価格) - $799
MSDN Premium サブスクリプション契約者には 2010 Ultimate Offer として,ひとつ上の VS 2010 エディションにアップグレードするオプションが用意されている。MSDN 契約者にはさらに特典として,以下の Windows Azure クラウド利用権が提供される。
つまり MSDN Premium と BizSpark の契約者には 750時間/月,VS の Ultimate,Premium,Professional 各エディションの契約者にはそれぞれ 250, 100, 50 時間/月 のクラウド使用が可能になる。Windows Azure の手始めとしては十分過ぎる時間数だ。
VS 2010 Beta 2 には 新バージョンの F# が付属する。VS 2008 用 CTP(Community Technology Preview) アドオン も同時に提供される。.NET 4 には Rx (Reactive Framework) が含まれているが,その実体は IObservable<T> と IObserver<T> という2つのインターフェースであり,これらが F# に統合されている。Don Syme 氏によるポストには F# リリースに関するさらに詳細な情報がある。
Microsoft は現在 VS 2010 Beta 2 向けの Windows Azure Tools セットを準備中で,11月には提供される予定だ。その リリース では “サービス定義と設定ファイルのための新 UI 追加,ロールを生成する新しいテンプレートオプションの追加,development fabric のデバッグ統合の改良,数多くの新しいプラットフォーム機能と改善の統合” などが提供される。
今回の Beta リリースは,2010年3月22日の RTM 前の最後のものになる予定だ。ただしユーザのフィードバックで重大な問題や,フィックスに予定期間以上の時間を要する問題が発生した場合には,RTM が延期される可能性がある。
本文中のリソース: Microsoft の VS 2010 Beta 2 プレスリリース,Don Syme 氏のブログの F# と VS 2010 に関するポスト