9月22日の夜遅く、シリコンバレーの有名なフォーラムであるChurchill Clubにおいて、 Oracleの最高経営責任者Larry Ellison氏が語ったところによると、Sun Microsystemsは欧州規制によりOracleの買収計画が調査されている間、月1億ドルを失っているとFinancial Timesが伝えた。
ドイツのSAPやMicrosoftを含むOracleの競合相手による反対されたものの、この取引は7月にSunの株主に、8月にはアメリカ合衆国司法省に支持され、結論を得るのに最後の障壁となるEUの承認を得るだけとなった。しかしながら、Oracleは、7月終わりまでこの取引を欧州連合規制に通知しておらず、通知したのはアメリカ当局に知らされてから2カ月以上も経ってからであった。EUはそのような行動を懐疑的にみる傾向があり、アメリカ合衆国ですでに承認された買収に許可を与えるようにEU規制に働きかけようとする戦術的な策略だと信じていた。
9月初めに、欧州委員会はOracleがMySQLをつぶそうとしている可能性があることに懸念を示し、EU合併規制のもとで徹底的な調査を始めた。これは、データベースの市場で競争に不利益な影響を与えると信じての動きであった。競争政策担当委員Neelie Kroes氏が語った。
"世界首位の独占的データベース会社が、世界首位のオープンソースデータベース会社の買収を提案するとき、委員会は非常に注意深く欧州におけるこの競争の影響を調べなければなりません。特に、委員会は、この買収の結果として顧客の選択肢が減少したり、価格が高騰したりすることのないように確かめる義務があります。データベースは、企業のITシステムの重要な要素です。現在の経済状況の中で、すべての企業は、費用対効果の高いITソリューションを求めています。オープンソースソフトウェアに基づくシステムは、独占的なソリューションに対して、生存可能な選択肢としてますます広がっています。委員会は、そのような選択肢が利用可能であり続けることを保証しなければなりません。"
この合併が行われている間、Oracleはいかなる詳細もこの計画について公にすることはできず、MySQLに関して何をするつもりかはまったく不明だ。Sunがしたのと同じように単にデータベースの開発を続けるかもれしない。厳しい第4四半期の間、Sunの米証券取引委員会(SEC)への報告書は、MySQLの取扱高が10%の1億ドルに上がり、同時期のJavaの合計取扱高とほぼ同じであったことを示す。中心となる独占的なデータベースビジネスを守りたいならば、OracleはMySQLを商業ライセンスにして魅力をなくすようにMySQLのサポート費用を上げることに目を向けるかもしれない。しかし、これは、ただ見込み客をOracleのクローズドソースプラットフォームへと追いやるのと同じく、MySQLからPostgreSQLなど別のオープンソースデータベースへ追い払うことになる。三番目の選択肢は、MySQLの開発を全くやめてしまうことだろう。しかし、これもどんな結果になるか知るのは難しい。Michael Wideniu氏によって作られて管理されているものを含め、すでにMySQLを受け継いだものは数多くある。Widenius氏はMySQLの元共同創立者の一人であり、Sunのエンジニアリングの実践で失敗したことに言及し、2009年の初めにSunを去っている。Wideniu氏は、"Open Database Alliance"という組織の立ち上げの先頭に立っていた。この組織は、MySQLから分岐したものを統合し、ベンダに中立な環境を提供することを約束する。
委員会は、2010年1月19日にこの調査を完了する。完了次第、無条件で承認するために、取引を妨げるすべてのことから様々な救済策を提供する可能性がある。これは、2004年のときと同じ結果となるだろう。その時、委員会は、取引に対してSunの買収が進行中の今と同じような徹底的な調査を行い、Oracleが無条件でPeopleSoftを買収するのを承認した。2005年、委員会は、OracleのSiebel Systemsの買収も無条件で承認した。委員会が条件を付ける場合、単にOracleがMySQLの将来の開発を保証するように要求するか、オープンソースデータベースをまったく取り除くことを要求するかもしれない。