欧州連合は、今日(2010 年 1 月 21 日) 正式に Oracle による Sun Microsystems の買収を承認した。EU は、EU 合併規則(Merger Regulation) に基づいて 2009 年 9 月から 合併を調査しており、Oracle が MySQL を葬ろうとするかもしれないという懸念とデータベース市場において競合に不利益な影響が潜在的にあると感じる動きを表明していた。この調査を開始し、任期満了となる競争委員の Neelie Kroes 氏は述べた。
世界のリーディング商用データベース企業が世界のリーディングオープンソースデータベース企業を買収することを提案するならば、委員会はヨーロッパにおける競合への影響を非常に慎重に調べなければいけません。特に委員会は、この買収で結果的に顧客が選択肢の減少や以前より高い価格に直面しないことを確かにする義務があります。データベースは企業の IT システムの主要な要素です。現在の経済の状況において、すべての企業は費用効果の高い IT ソリューションを求めています。オープンソースソフトウェアに基づくシステムは、商用ソリューションの実行可能な代案としてますます浮上しています。委員会はそのような代案が継続して利用可能であることを保証しなければいけません。
今日の発表の中で彼女は述べた。“私は今、競争と革新が関連するすべての市場で維持されるであろうことに満足しています。”
委員会のプレスリリースは、データベース市場において PostgreSQL は MySQL の確かな代替を提供しており、さらに MySQL のオープンソースの本質は、将来においては MySQL コードベースの "分岐(forks)" でも開発しているかもしれないことを意味すると主張している。委員会は、知的所有権 (IP) における、提案された取引の文脈での Java 開発プラットフォームへ繋がる権利の Oracle の買収による潜在的な影響も調査した。以下に記述が見つかる。
…競合が重要な知的所有権にアクセスすることを拒否することができる Oracle の能力は、Oracle の競合を含む IT 業界の他の重要なプレイヤが参加している、Java 技術仕様を開発し改訂するための参加型のプロセスである、Java Community Process (JCP) の機能により制限されているはずです。委員会は、広範囲での Java プラットフォームの採用により派生する利益を脅かす可能性があるため、競合の Java 知的所有権へのアクセスを制限するという動機を Oracle が持っていないであろうことに気づきました。 そしてそのため、提案された取引は Java に繋がる知的所有権のライセンスへの考慮において何ら競合の関心を引き起こすことはないでしょう。
ヨーロッパにおいて、取引への反対 – そして MySQL への影響についての関心 – は、Microsoft、SAP、MySQL 共同創立者と元 Sun 従業員である Monty Widenius を含む多くの Oracle の競合により引き起こされている。Widenius 氏は、コードの分岐である MariaDB を開始することやすべての開発者を統合するために "Open Database Alliance" を結成することを含む、MySQL を Oracle の外部で活動し続けるために計画された、多数の手段を監視してきた。
今日の発表に反応して、ミュンヘンに拠点を置くオープンソースソフトウェア活動家であり Widenius の広報担当である、Florian Müller 氏は、委員会の決定は "何よりも将来への希望的観測" であると主張した。続けて、
PostgreSQL は、十年もの間主流となる突破口を持つこと無しに存在しています。よって欧州委員会は PostgreSQL が競合する力として MySQL を置き換えることができると真剣に主張できません。
スイスの独占禁止監査機関も今日取引を通過しました。そして今 Widenius 氏は、中国とロシアの市場において取引を停止させようとすることに注力している。開始しているプロセスは、"それらの主な管轄もまた彼らの決定を得て発表するまで"終わることを考慮されることはないだろう。
Widenius 氏の活動は、元 MySQL の従業員の間でさえ一般的にサポートされなかった。前 MySQL CEO Mårten Mickos 氏 - そして Sun のデータベースグループの前ヘッドである - は、Oracle による MySQL 所有権に対する懸念を退けただけでなく、10 月 8 日付けの Neelie Kroes 氏への手紙で EU に Oracle が Sun を購入することを承認するように要求もした。最近比較されることもある 2006 年の Red Hat による 3 億 5000 万ドルの JBoss の買収を統括した、前 JBoss CEO Marc Fleury 氏は、彼のブログにおいて Widenius 氏を公の場で非難し、そして彼の行動はオープンソースソフトウェアの将来に損害を与えるかもしれないと唱えている。
Widenius 氏が取引をさらに遅らせることを望んでいるかもしれないというのに、明らかに Oracle はあまり気にしていない。最高責任者である Larry Ellison 氏は、合併会社とそれらのロードマップに対する戦略を 1 月 27 日のウェブキャストで概説するつもりであると既に発表した。Oracle は、ここ数週間で取引が完了した後、最初の年で 15 億ドルの営業利益を Sun から絞り出そうとしている。