Google Storage for Developers (GSD) は,合衆国内のデータセンタ間にレプリケートされたデータストレージを提供する,RESTful なサービスである。“開発者用 (for Developers)” と呼ばれるのは,データの転送とアクセスに GET,POST,PUT,HEAD,あるいは DELETE など,通常の HTTP コマンドに基づいた API を使用しているためだ。
サービスは現在プレビューの段階で,限られた人数の Google サービス開発者 (サインアップへのリンク) を対象に提供されている。アカウントにはそれぞれ 100GB のストレージと 300GB の通信帯域が割り当てられる。GSD のデータはオブジェクトとして保存され,バケット内にフラットに配置されている。バケットも同じように,アカウントの内部にフラットな構造で保存される。すべてのバケットは,GSD 全体でひとつの共通ネームスペースを共有する (つまり,バケットの名称は GSD 全体でユニークである)。アカウント毎に作成できるバケット数は 1,000 個まで,オブジェクトの最大サイズは 100GB である。ただしこれらの数値は,プレビューの終了時には拡張される予定だ。
GSD はリードアフターライト (read-after-write) によって,データの一貫性を保証している。基本的にこれは,オブジェクトがアップロードの直後からアクセス - リスト,ダウンロード,あるいは削除 - 可能である,ということを意味している。削除されたオブジェクトも同じように,コマンド実行直後にアクセスできなくなる。またリスト取得コマンドの結果は,インターネットのどこから実行しても同一である。
GSD は 共有 ベースのアクセス管理リスト (Access Control List/ACL) をサポートする。ユーザに割り当てる各種のパーミッション – 参照,更新,フルコントロール – と,バケット,オブジェクトの2レベルのアクセス単位が定義されている。
ストレージ管理は GS Manager を使用して行う。これはバケットの生成/削除,オブジェクトのアップロード/ダウンロード/削除,ACL リストの管理など,管理操作のほとんどをサポートするブラウザベースのアプリケーションで,Google Chrome 5.0,FireFox 3.6,Safari 4.0 以降のブラウザで動作する。もうひとつ GSUtil という,GS Manager と同じタスクを実行できるオープンソースのコマンドラインツールもある。
GSD は現時点では Google Docs に統合されていない。また Google Apps のアカウントは使用できず,通常の Google アカウントのみ有効である。ただし,これは将来的に変更される予定だ。
サービスの価格 は $0.17/GB/月 に設定されている。同種のサービスである Amazon S3 の価格が 耐久性(durability) 99.999999999 % のもので $0.15/GB/月,99.99 % で $0.1/GB/月なので,それよりも高い。アップロードとアクセスは $0.1/GB または $0.01 /1000 HTTP リクエスト で,こちらは同じ価格だ。なお Amazon には 50TB,400TB,500TB など,ストレージ容量追加に伴なう段階的な値引きがある。SLA (Service Level Agreement) はまだ用意されていないが,Google は,サービスがすべての希望者向けにオープンされる時点で SLA を提供する,と約束している。