Windows 8 に関するいくつかのスライド資料が インターネットにリークされて,Microsoft のオペレーティングシステムの次期バージョンに関する計画が明らかになった。タッチコントロール,音声コントロールをサポートするハードウェア,違和感のない UX,迅速なスタートアップ,app store などがその内容だ。また Mono プロジェクトの創始者である Miguel de Icaza 氏は,サンドボックス実行システム,インストール不要なアプリケーション,拡張ポイントに関するパブリックコントラクトなど,氏自身の Windows 8 に対する期待 について述べている。
リークされたプレゼンテーションスライドを公開したのは,イタリアの Windows Web サイトである Windowsette だ。Microsoft がパートナの PC メーカに配布したもの,というそれらのスライドには,Windows 8 で計画されているハードウェア,ソフトウェア,その他の主要な機能についての説明がある。以下はその計画の中から,もっとも興味深い機能を抜粋したものだ。(スライドに関する さらに詳しい情報 が Microsoft Kitchen にある)
ハードウェア。資料によると,Microsoft のプランは次のようなハードウェアの提供を前提としている。
- 高品質のタッチエクスペリエンス
- HD ビデオ
- 音声コントロール
- 赤外線近接センサ
- 周辺光センサ
- 近接感知によるスリープ/起動
- 室内周辺光に基づく画面輝度調整
- 顔認識によるログイン
ユーザエクスペリエンス。資料では Apple の UX へのアプローチについて,それがストレスのないコンピュータ操作を実現している点を指摘している。ユーザにとってよい PC とは "役に立つ" ものであり,そのためには安心して操作できるデザインが必要である。そしてそれが,製品に対する満足感につながるのだ。
Windows 認証。マシン中心のアプローチからユーザ中心のアプローチへと転換を図るプランである。ユーザアカウントの重要性に変わりはないが,高速なユーザ切換とローミングにより重点が置かれるようになる。クラウドへの統合や各種のリソースにアクセスする機能,PCによるユーザ認証操作の代理実行なども含まれている。さらには,ログイン実行のアプローチとして顔認識を利用することも提案されている。
フォームファクタ。Windows 8 では3つのフォームファクタを対象とする予定だ。
- スレート – Web やメディアの鑑賞,カジュアルなゲーム,Eメール参照,IM,ソーシャルネットワークなどに使用
- ラップトップ – 生産性アプリ,Eメール作成,メディア操作など
- オールインワン – Web やメディアの鑑賞,カジュアルなゲーム,より複雑なコミュニケーション,メディア操作などに使用
迅速なスタートアップ。この領域では次のような戦略が立てられている。
- 一般電気製品に近いルック・アンド・フィールの提供
- 起動とシャットダウンの改良
- キャッシュの利用
- 計測・最適化ツールの提供
リストア。ユーザの簡単なボタン操作のみで Windows を工場出荷状態にリストア可能にする,というプランだ。Windows 8 では,ユーザの個人データやアカウント,その他の情報はリストア時にも保存される。
IE9。 スライドによると,IE9 のベータ版は 2010年8月にリリースされるようだ。
マーケット。 Microsoft はターゲットとして,およそ 860万人のプロフェッショナル開発者, 3,900万人の STEM-D (科学/Science,技術/Tech,工学/Engineering,数学/Math,および設計/Design 従事者),10,400万人のホビイストおよびアマチュア開発者を想定している。
Windows ストア。 Microsoft はアプリケーションストアを計画しているようだ。Windows をターゲットとしたもので,既存の Windows Marketplace よりも Apple の App Store に非常に近い。
Miguel de Icaza 氏は,Windows 8 に期待するもの について自身のブログポストに記している。氏の選択は,まさに開発者としての要望を反映したものだ。
サンドボックス実行システム: によってアプリケーションによるレジストリ操作やドライバ,フック,ビジュアライザなどのインストール,その他のOS内部に対する組込操作を防止します。
サンドボックス実行システムは,前もって設定された部分以外のファイルシステムを,アプリケーションが検索できないようにします。
アプリケーションのアクセスできるファイルやデバイス,コンポーネントは,カーネルによって制限されます。必要最低限に設定されるのが望ましいでしょう。
自己完結型アプリケーション。 ネットワークや App Store 経由でソフトウェアをインストールするために必要です。自己完結型のアプリケーションは,自分自身のディレクトリ以外の修正権限をまったく持っていません。アプリケーションがシステムに登録する拡張ポイント ("open with" など) は,すべてパブリックコントラクト(Public Contract)としてあらかじめ登録されている必要があります。
拡張ポイントのパブリックコントラクト(Public Contract)。 "open with" のような拡張ポイントや mime タイプハンドラを,アプリケーションディレクトリのマニフェストに自己記述しておくものです。
システムレジストリに何かを突っ込んだり,雑多なファイルなどを書き散らす代わりに,アプリケーションがオペレーティングシステムに対して必要なことはすべてマニフェストに記述しておきます。オペレーティングシステムはユーザが利用可能なすべてのアプリケーションのマニフェストを参照して,内部データを再構築します。
制限付き API。 ファイルアクセス API やディスプレイアクセス API などは,アプリケーションからホストオペレーティングシステムへのアクセスを制限するために修正する必要があります。大部分のアプリケーションで必要としないものは取り除いて,アクセスを最小限にするべきでしょう。
読者諸氏は Windows 8 にどのような機能をお望みだろうか?