人は組織ではなくマネージャの元を去るのだ、というのはよく知られている事実である。アジャイルチームにはチームメンバの間に仲間意識があることが知られているが、アジャイルマネージャとして成功するための鍵を握るのは、総じてチームメンバや組織のエコシステムとマネージャとの関係だ。
Johanna Rothman氏は、アジャイルマネージャはもはや機能マネージャ(functional managers)である余裕がないと言う。彼らはチームにとってチャンピオンである必要がある。つまり、マネージャは毎週や隔週マンツーマンで接して、チームメンバ全員について学ぶ必要があるということだ。マネージャはフィードバック、メタフィードバック(フィードバックの仕方についてのフィードバック)、メタコーチング(コーチの仕方についてのコーチング)ができなくてはならない。
マネージャはキャリア開発もしなくてはならない。これはチームとの信頼関係を築くのに役立つだけでなく、組織の目標達成に向けた推進力にもなる。Johanna氏は次のように語っている。
キャリア開発が一本道になるのはまれです。仕事では様々な役割を経験します。アジャイルチームではチームメンバはジェネラリストであり、様々な役割を非常に経験しやすい環境にあります。マネージャは個々のイテレーション目標に関与しませんが、組織に対して責任を負っています。別の人に任せるよう提案することもできます。
Lyssa Adkins氏は、アジャイルマネージャはアジャイルチームで起こるあらゆるアクティビティに責任があると言っている。マネージャにはチームの管理、投資の管理、組織を取り巻く環境の管理に責任がある。これらのカテゴリには次のようなサブカテゴリがある。
- チームの管理
- アジャイルチーム管理
- リソース管理
- パフォーマンス管理
- 投資の管理
- メトリクスとレポートによる管理
- アジャイルポートフォリオ管理
- 環境の管理
- 社内パートナー管理
- サプライヤ管理とアウトソーシング
- メタコンピテンシー
- 組織的変化
同様に、Jeffrey Palmero氏は、チームはさておき、アジャイルマネージャは顧客をうまく管理する必要があり、そうすることでアジャイルチームのエコシステムがスムーズに機能し続けられる、と述べた。Jeffrey氏は次のように語っている。
あなたの仕事の一部は開発チームを管理することですが、あなたは顧客も管理しなければなりません。顧客満足は期待をうまく管理することに大きく関係しています。顧客は予期せぬ驚きを好みません。驚きを与えてはいけないのです。
Lyssa氏はアジャイルマネージャがその役割に見合うかどうかを分析するのに役立つ一連の質問について述べている。質問には次のようなものがある。
- あなたはアジャイルの価値を後押しする変化の触媒となっていますか?価値を届けるという文化を先導することから始めていますか?
- あなたはアジャイルチームのために大きな組織的障害を取り除いていますか? チームはあなたをマネージャとしてよりもコーチやリーダーとして見ていますか?
- あなたはメトリクスを利用することで、チームのパフォーマンス改善を助け、シニアリーダがもっとうまく価値を届けられるよう判断するのを助けていますか?
- サプライヤはアジャイルなやり方で仕事をするようどのように後押しされていますか?アウトソーシングはアジャイルチームの助けになっていますか、それとも邪魔になっていますか?
すなわち、アジャイルマネージャに期待されているのは、単なるチームの管理やプロジェクトの実現よりももっと幅広く影響力のあることだ。それは、チームメンバのキャリア開発から、顧客が幸せでいられ、投資に見合うビジネス価値を実現できるよう組織レベルの障害を取り除くことまで及んでいる。
それでもあなたはアジャイルマネージャですか?