OracleはOracle Exalogic Elastic Cloudを作成した。これはOracleやJava、または非Javaアプリケーションのためのプライベートクラウドアプライアンスだ。一方、Amazonは多くのOracle製品のサポートを発表した。
Larry Ellison氏の“すべてのもの[クラウド]はネットワークに繋がったコンピュータだ”という面白いビジョンに続いて、OracleはOracle Exalogic Elastic Cloudという名のクラウドアプライアンスを発表した。これはプライベートクラウドに対する需要を満たすものだ。
Exalogicのハードウエアは標準的な19インチ、42Uのラックを納められる筐体で、各ユニットに含まれるのは、ホットスワップ可能な複数のノード、SSDを利用したストレージシステムだ。また、ノード間の通信や他のユニットとの通信をするためのInfiniBandの入出力の仕組みとデータセンターと融合するための複数の10ギガビットイーサネットのポートも含まれる。各ノードには6コアの64ビットのx86プロセッサがふたつ、ECC DIMMメモリ、SSDがふたつ、冗長化されたInfiniBandのホストチャンネルアダプタ、そしてふたつの電源が含まれる。仕様(PDF)によれば、アプリケーションにとって“Exalogicのすべての構成はすべての水準で完全に冗長化されており、単一障害点が存在しない設計になっています”。
ひとつのExalogicの筐体は8、16、または30のラックを装備する。コアは2.93GHzのXeonであり、コア数は96から360になる。これで不十分ならより強力な処理能力を得るためにこの構成を8つまで結合できる。OracleはInfiniBandの接続を使うことで直線的かつ水平的にExalogicを拡張することを推奨する。
ソフトウエアの面では、ExalogicはOracle LinuxとSolaris 11をOracle VM上で動作させる。また、主要なOracleのミドルウエア製品をすべてと、多くのLinux/Solarisアプリケーションをサポートする。さらにOracle Database 11g、Oracle Real Application Clusters、そしてOracle Exadata Database Machineを搭載する。
性能面では、Oracleひとつのラックは秒間に100万リクエスト超をさばき、秒間180万超のJavaメッセージを処理することができる。
技術ジャーナリストであるTim Anderson氏によればExalogicはAmazon EC2 APIを実装している。 一方、Amazonは多くのOracle製品をサポートすることを発表した。
- Oracle E-Business Suite
- Oracle PeopleSoft - エンタープライズアプリケーション
- Oracle Siebel -CRMアプリケーション
- Oracle Database
- Oracle Fusion Middleware
- Oracle Linux - Unbreakable Linuxサポートを追加することもできる
アプリケーションはAMIとして提供されることになるだろう。また、既存のOracleライセンスを使って実行することも可能になる予定だ。
Amazonはクラウドソリューションを探している下位のOracleの顧客を狙っているようだ。一方でOracleはExalogicマシンを買う余裕のある大口顧客を狙う。
Oracle OpenWorldのキーノートでのLarry Ellison氏の発言によれば、中国では鉄道の発券システム全体をひとつのExalogicで動作させている。また、Facebookのウェブレイヤ全体を2、3のExalogicで動作させることもできるという。ZDNetの記者であるDennis Howlett氏はこの発言を聞いて、なぜOracleがこのようなアプライアンス製品を作成したのか考え込んでしまった。氏にはこの製品は“全くの仮定に過ぎないが、Oracleの顧客の5%くらいしかこの製品を使わないように思える”からだ。Exalogicはほとんどの顧客に必要な性能を超えているだろう。しかし、これはOracleが過去にSunが試みたが成功しなかったSun Open Cloud Platformが提供しようとしてパブリッククラウドを準備しているということを示唆する。