OpenStackは、Rackspace Cloud Servers と Cloud Files、そして、NASAのNebulaテクノロジを基盤とした初めてのオープンソースクラウドコンピューティングプラットフォームAustinをリリースした。これに対する反応と思われるものとして、Amazonは新規顧客に対して1年間無償のAWS利用層を利用できるようにした。
Rackspace主導のOpenStackイニシアティブは7月に発表されたもので、主要なソフトウェア構成要素は、RackspaceのCloud FilesソースコードをベースとしたObject StrageとNASA NebulaコンピューティングエンジンとRackspaceのCloud ServersテクノロジをベースとしたComputeである。3ヶ月間開発、バグ修正、最適化を行い、OpenStackはクラウドの風景を一変させる可能性がもっとも高い初めてのオープンソースクラウドコンピューティングプラットフォームAustinをリリースした。NASAも、Nebulaでうごき認定された職員が利用できる内部のCloud Serviceのプレリリースを行った。.
OpenStackのコミュニティおよびビジネス開発担当副社長であるMark Collier氏はCitrixからの貢献をベースとしたXenハイパーバイザのサポートをOpenStackは含むと公表した。CitrixのOpenCloud PlatformにはOpenStackの技術が使われるだろう。NebulaのコードによってKVMハイパーバイザに対するサポートがもたらされ、そのほかにサポートされたハイパーバイザがQEMUやUser Mode Linuxのサポートである。Collier氏は“OpenStackの目標は複数のハイパーバイザをサポートすることであるが、現状のリリースビルドではVMwareとMicrosoftのHyper-Vのサポートが欠落している。”と述べている。
更新. OpenStack Austinの発表に続いて、MicrosoftはOpenStackにWindows Server 2008 R2 Hyper-Vを統合することを約束した。MicrosoftはCloud.comにアーキテクチャ及び技術に関するガイダンスを提供し、OpenStackがMicrosoft仮想化プラットフォーム上で動くのに必要なコードを書くことになるだろう。そのコードはOpenStack.orgで利用可能になる予定である。
業界アナリストであり、アドバイザであり、起業家でもあるKrishnan Subramanian氏によればObject Storageは“10以上のバグ修正と統計プロセッサ、強化されたアクセス制御、ユーザ定義メタデータなどの新機能”を持ち、Austinは“ずっと簡単に途切れることなくインストールやデプロイを行えるまったく洗練されたバージョン”である。彼は、数百名の開発者が現在このプロジェクトに貢献し、35以上の企業や組織がサポートを行っている、と発表している。次のリリースのコードネームは“Bexar”で、2011の1月に予定されている。
OpenStackは2010年11月9-12日にこの技術をさらに進化させることに興味ある人々のためのオープンデザインカンファレンスを行う。
OpenStackイニシアティブへの反応であるように思われるものとして, Amazonは新規の顧客に対してEC2、Load Balancer、EBSやS3を含む1年間限定の無償AWS利用層を11月1日から開始すると発表した。SimpleDB、SQS、SNSは新旧の顧客が無制限に利用できる。このサービスは顧客が望むいかなるものが利用可能であるが、次のような上限がある。
- 750時間のAmazon EC2 Linuxマイクロインスタンスの利用(613 MBのメモリと32-bit、64-bitプラットフォームサポート) – 毎月継続的に実行するには十分な時間である
- 750時間のElastic Load Balancerと15 GBのデータ処理
- 10 GBのAmazon Elastic Block Storageと1000000 I/O、1 GBスナップショットストレージ、10,000回のスナップショットGetリクエストと1,000回のスナップショットPutリクエスト
- 5 GBのAmazon S3ストレージ、20,000回の Getリクエストと2,000回の Putリクエスト
- 30 GBのインターネットデータ転送 (15 GBの“入力”データ転送と15 GBの“出力”データ転送。Amazon CloudFrontをのぞく全てのサービスにおいて)
- Amazon SimpleDB 25 Machine Hourと 1 GBのストレージ
- Amazon Simple Queue Service 100,000 リクエスト
- Amazon Simple Notification Service 100,000リクエスト、100,000 HTTP通知、1,000 電子メール通知
無償のアカウントでデプロイされたアプリケーションが、割り当てられた以上のリソースを利用した場合、標準の利用しただけの支払いが余計に使われたリソースに対して適用される。これは例えば、ウェブサイトを立ち上げて、さらにリソースが必要になるくらいに人気が出るかどうかを確かめるような顧客にとっては有用である。
GoogleはGoogle App Engineを開始当初から無償で提供していて、別の形での上限がある。顧客はGAE譲に10個のアプリケーションをデプロイでき、それぞれはストレージを500MBまで、毎月500万ページビューまで利用できる。それ以上のリソースは有償である。