Joe McKendrick 氏は SOA の将来に関して,自身の新たな ポスト で次のように問いかけている。
サービス指向アーキテクチャ (Service Oriented Architecture,SOA) はどこに向かうのでしょうか? 多くの人たちが SOA を,他分野のものとの組み合わせで考えています。それは SOA が,単独ではビジネスとして立ち行かないものだからです - すなわち,ビジネスが求めているのは最新の顧客サービス,レスポンスのよい ERP システムなどであって,"SOA" それ自体ではないのです。
氏は今後の SOA の展開について,その進むべき方向をいくつか挙げている。
エンタープライズアーキテクチャへの統合。Loraine Lawson 氏は SOA が,エンタープライズアーキテクチャ (Enterprise Architecture,EA) のオプションのひとつとして取り込まれていくと予想する。氏はこれを,双方にとって有益なものだと考えている - EA のツールボックスに新たなツールが加わる一方で,SOA は EA の描くより大きなビジョンから利益を得ることができる,というのだ。
クラウドコンピューティング。クラウドコンピューティングが SOA を救う,と論じる出版物は数多い。Mckendrick 氏によれば,
... SOA 対応サービスは多くの観点から見て,プライベートクラウドサービスなのです。さらに効果的なクラウドの構造には,ベースとして適度なサービス指向が必要です。
David Linthicum 氏はさらに進んで,次のような 意見を述べている。
詳しく見ればクラウドコンピューティングは SOA であり,SOA がクラウドコンピューティングである,ということが理解できます。
EAI。SOA はその初期段階から,多くの実践者によって EAI 実装に望ましいアプローチとして捉えられていた。先日の ebizQ と TechTarget によるイベント "SOA と アプリケーション統合の実践 (SOA and Application Integration in Action)" でも,この話題を取り上げたパネル "SOA による統合インフラストラクチャの構築 (Building Out Integration Infrastructure with SOA)" が用意されていた。
McKendrick 氏によると,
これはまったく理にかなったものです。なぜなら SOA の取り組む課題は,スパゲッティの寄せ集めのごとく,アプリケーションをビジネスのためにまとめ上げることだからです。
BPM。数多くの書籍が,SOA と BPM の間にある共有性と相互依存性について論じている。McKendrick 氏の意見によれば,
... ビジネスプロセス管理 (business process management,BPM) は,オートメーション化されたプロセスを分解し,再構築する能力に依存しています。
この説には特に目新しいところはなさそうだが,それがなぜ今,繰り返されるのだろうか?
... ベンダたちが,次の目玉商品を見つけようと躍起になっているからです。そのためベンダの多くが,専業的な SOA サプライヤであると喧伝したがらなくなってきました。
と,McKendrick 氏は書いている。
この種の議論は完全に人為的なものであって,実際のところ,SOA の定義あるいは再定義とは何の関係も持たない。SOA は何年か前,次のように定義されている。
... エンタープライズビジネスのソリューションを設計,構築,構成する基本単位としての,ビジネスに連携した企業サービス,という概念を促進するアーキテクチャ形式。
それにもかかわらず,いまだ多くの関係者が SOA を技術プラットフォームと解釈していることが,今回の混乱の原因となっているのだ。