PDC 2010でSilverlightについて“戦略を転換した”と発言したBob Muglia氏はこの発言の真意を明確にしようとした。Steve Ballmer氏とTim Heuer氏もSilverlightについて、Microsoftは引き続きコミットメントしていくと発言してコミュニティを安心させた。しかし、同時にHTML5がクロスプラットフォーム開発のためのソリューションであり、SilverlightはクライアントとWindows Phoneのためのものとして残るという事実を指摘した。
ZDNetのエディタであるMary Jo Foley氏はPDC 2010の期間にMicrosoftの現在のSilverlightについての方針について同社のサーバアンドツール部門のプレジデントであるBob Muglia氏にインタビューをした。氏は“戦略を変更した”と言ったが、Silverlightは引き続き制限付きのクロスプラットフォームソリューションとして残り、そして“HTMLが(Appleの)iOSプラットフォームを含むすべての環境のためのクロスプラットフォームソリューションだ”と付け加えた。 氏のSilverlightについての発言とPDC 2010でSilverlight関連の情報がなかったことは、Silverlightの運命について多くの解釈を生み出したが、ほとんどの人はSilverlightがWindows Phone 7に限定された技術になると見なした。
その後、Bob Muglia氏は“議論と誤解”を生み出してしまったことを謝り、Silverlightに関することを明確にするための記事を書いた。そして、Silverlightはこれからも“クロスブラウザでクロスブラウザであり、WindowsでもMacでも動作する”こと、そしてSilverlightは“Windows向けアプリケーション開発の中核となるプラットフォームであり、Windows Phoneの開発プラットフォームでもある”ということを明確にして開発者と顧客を安心させた後、氏はいくつかの見解を述べた。まず“Silverlightに対するこれからの戦略と注力を変更した”という発言について、この発言には消極的な意味はなく、適切なアクションを要求するオンライン開発の風景に変化が起きるという認識を表明したものだということだ。主要な変化はクロスプラットフォーム開発の完全性を保つためにSilverlightがサポートしなければならないだろうデバイスの数と種類だ。
Silverlightを始めたとき、インターネットに接続された独自のデバイスや差異があるデバイスの数は相対的に少なかったです。したがって、私たちは可能な限り一貫性があるリッチなエクスペリエンスをこれらのデバイス上で提供することが私たちのゴールでした。しかし、世界は変わりました。その結果、単一のランタイムの実装をすべてのデバイスにインストールすることは実際には不可能になりました。
その結果、MicrosoftはHTML5に取り組むようになった。
私たちはHTMLが最も幅広い、すべてのデバイスに及ぶクロスプラットフォームを提供するだろうと考えます。Microsoftでは動作するデバイス向けの世界最高のHTML5の実装を構築することに全力を注いでいます。PDCではIE9で実現されたこの努力の現在の成果を見せました。
氏はSilverlightがカバーする領域は“クライアントアプリケーションとメディアエクスペリエンス”になると話した。そして“私たちは引き続きSilverlightに投資をします。また、これからも開発者が素晴らしいアプリケーションとエクスペリエンスを構築できるようにします。”と発言することで安心させた。
MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏はPDC 2010の印象を書いた。Silverlightについて“ウェブ上で最もリッチなメディアストリーミング能力を提供し、私たちもWindowsとMacの双方に対してこの能力を提供し続ける”と書いたが、同時にHTML5が完全なクロスプラットフォーム開発のソリューションになることも付け加えた。
私たちはインターネットに接続された様々なデバイスの出現を見てきました。私が先週言ったように、HTML5が最も幅広い、すべてのデバイスに及ぶクロスプラットフォームを提供するだろうと考えます。Microsoftでは動作するデバイス向けの世界最高のHTML5の実装を構築することに全力を注いでいます。PDCではIE9で実現されたこの努力の現在の成果を見せました。
SilverlightのプログラムマネージャであるTim Heuer氏は、個人的には今年はSilverlightに賭けていたこと、そして不適切なタイミングでレイモンドへ引っ越したことによって氏と家族の個人的な生活に影響があったが、MicrosoftのSilverlightについての計画を信じていなかったらこの引っ越しを行わなかっただろうという記事を書き、開発者とサードパーティを安心させた。氏はSilverlightのターゲットがクライアントになることも付け加えたが、これから5年から10年の間にどうなるかについては何も書くことができない。長期的な戦略はないのだ。
Microsoftの姿勢はSilverlightがWindows、Windows Phone、Mac OSのリッチクライアントアプリケーションを作成するためのものになることを示している。しかし、あらゆるデバイスで動作するウェブアプリケーションを作成するためには利用されないだろう。既存のまたはこれから生まれるたくさんのプラットフォームに移植しサポートしなければならないからだ。AdobeはAdobe MAX 2010でFlashからHTML5へ変換するツールのデモを行った。さらにHTML5のアニメーションを視覚的に作成できるEDGEというツールも発表した。おそらくMicrosoftも同じ道を進み、Silverlightを使ってHTML5に変換できるアニメーションを作成できるツールを開発するだろう。または、HTML5の編集ができるツールを作成するかもしれない。これらの開発は、将来はウェブ上にはFlash対Silverlightという対立はなく、HTML5の実装のバリエーションがあるだけの状況になることを押し進める。
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