開発チームが発表したAndroidを分岐する意図は、Oracleの特許訴訟を逃れて、OpenJDKベースの新しいOSを作るためで、それを他のプラットフォームやオペレーティング システム上で走らせ、デスクトップに持っていくためである。
Androidは、Dalvikを非常に使っているが、これは、部分的にApache HarmonyをベースにしたJava VMであり、オープンソースによるJavaの実装である。Oracleは、昨年Googleに対して、特許とコピーライトの侵害 を訴えた。Dalvikが7つの特許に抵触していると訴えており、Android OSのオープンソースと無料という特徴に深刻な影響を持っている。6人の開発チームは、FOSDEM 2011でアナウンスした (スライド(PDF)) のは、Androidを分岐して、訴訟の無い新しいバージョンを作る計画であった。このプロジェクトの名前は、IcedRobotである。
David Fu氏は、IcedRobotチームのメンバーで、Opera Softwareのエンジニアであるが、彼らが欲しい のは「4つの自由に即した本当に自由なAndroid」だ、と言った。彼はまた、プロジェクトは、2つのサブプロジェクト、GNUDroid とGNUBishopに分かれる、と言った。
GNUDroid は、 GNU Classpath と OpenJDKから借りてきた無料のソフトウェア コンポーネントを使って、Androidを実装する目的のプロジェクトである。これは、IcedRobot Micro Editionになる。
GNUBishop は、モバイルの世界にはない一般のデスクトップ機能によって、Androidによって提供される標準フィーチャを増やす目的のプロジェクトである。これがIcedRobot Standard Editionになる。
Mario Torre氏も、チームのメンバーで、JP Morgan Chaseの開発者であるが、プロジェクトについて 更に詳しく 話してくれた。 IcedRobotは、Linuxのどのバージョンでも走り、GoogleがAndroidでカスタマイズしたものだけではなく、 OSX やQNXの上でも走らせたい、と氏は思っている。また Dalvik やHarmonyへの依存性を排除したいと考えており、OpenJDK や GNU Classpathの上に構築したいと考えている。「全てをHotspotで走らせる」。また彼らは、x86のような他のプラットフォームもサポートする意向だ。
まだ公開されているコードはないが、現在、Android 2.3を分岐させていて、最初のステップが「Androidが使っているカスタムなLinuxカーネルからDalvikを切り離し、同時に単独で動作するように、他のAPI(特にグラフィック スタック)をポートすることである。
実際に、彼らが思っているのは、裁判沙汰になりえないフリーのコード上にIcedRobotを作ることで、Oracleの訴訟を「過去の悪夢」することである。もうひとつは、IcedRobotをデスクトップを含めた様々なプラットフォーム上で走らせたい、と考えている。「Google TVは、かっこいい、デスクトップでそれを見たい」からである。
IcedRobotのアナウンスは、よくまとまっていない。チームがいくつかのブログで様々な情報を部分的に述べているからで、さながらPR部門に人手が要るかのようである。しかし彼らは、フリーでオープンなソフトウェアに専従で働く。彼らは、なんとか成功するだろうか?結局、これは、相当な仕事量である。デバイス製造業が、できたソフトウェアを実際のスマートフォンやタブレットで使いそうにはない。もし彼らがこのようなAndroidベースのOS作ったら、誰がそれをどこで使うのだろうか?