"Microsoft よりも .NET を愛する" というマントラの下,Mono はクロスプラットフォーム .NET 開発という約束を実現し続けている。最初は iOS と Android のネイティブサポート・ツールキットだった。そして今度は Android タブレットに,Silverlight 開発の世界を開こうとしている。
Silverlight はタブレットという形式によく合う。単純な HTML よりリッチなエクスペリエンスを,デバイスごとのネイティブ UI レイヤ開発という出費なしで希望する場合に,比較的軽量なランタイムとリッチな UI 機能が理想的なプラットフォームを形成するのだ。しかし残念なことに Microsoft は,Silverlight でのクロスプラットフォームという目標を取り下げてしまった。
Novel の Mono にとってのチャンスがここにある。1週間の昼夜たがわぬ努力の後 Mono チームのメンバたちは,Linux 用 Silverlight 実装の Android タブレットへの移植作業を,Miguel 氏が MIX で行う "Mono: State of the Union" というセッションに間に合わせることができた。このプレゼンテーションでの Moonlight ハードウェアアクセラレーションのデモは,Motorola Xoom を使用して行われたのだ。
プレゼンテーション中 Miguel 氏は,Moonlight のターゲットは Android タブレットだけである,と発言している。その後,これと同じデモが Nexus S 携帯電話で動作する様子を示した ビデオが,Jefrey Stedfast 氏のブログにポストされた。
ただし Moonlight on Android はまだ完成品ではない。その点には注意が必要だ。現在はまだコード移植の初期段階であり,やるべきことが数多く残っている。なお現時点でプレビュー段階である Linux 版 Moonlight バージョン4 では,Silverlight 3 の全機能と Silverlight 4 の一部機能がサポートされている。
iPad に関しては現在,Web 用の Silverlight の真の実装が不可能な状況である。Silverlight をブラウザ上で実行するには JIT サポートが必要だが,Apple がそれを許可しないのだ。MonoTouch と同じプリコンパイル技術を利用して誰かが Moonlight を iOS に移植すれば,ブラウザ外であれば実行することが可能だろう。ただしこのようなアプリケーションを提供するには,Apple App Store を経由しなければならない。