今日のバージョン7のリリースによって,NetBeans は JDK 7 をサポートする初のオープンソース IDE になった。新しい言語機能のサポート,JDK プラットフォームの新機能を活用するための既存コードベース修正作業を補助するコードインスペクタ,などが提供される。JDK 7 の特徴的な機能は次のようなものだ。
- Switch 文での String 使用
- ダイアモンド演算子 (new LinkedList<>())
- java.util.Objects
- JSR 292 (非標準型識別子)
- 新しい整数リテラル
- マルチキャッチ
- 自動リソース管理
JDK 7 はまだリリースされていないため,NetBeans チームは今後の展開に逐一対応していくことになる。Oracle のプロジェクト管理シニアディレクタである Duncan Mills 氏は InfoQ に対して,どのような変更にも対応するためにポイントリリースを行う計画がある,と語っている。
Swing アプリケーション開発者が NetBeans ユーザに占める比率の大きさ (Mills 氏によると,NetBeans ユーザの約 50% が JavaSE アプリケーション開発に従事しているという) から,Swing 用のビジュアルエディタツールには引き続き注目が集まるところだ。NetBeans 7 では新しいビジュアルエディタと GridBag カスタマイザがツールに追加される。その他にも Oracle は Maven3 や Git 1.7,JUnit 4.8.2 の統合サポートなどを追加している。さらにライブラリと Java プラットフォームの Javadoc にリモート HTTP URL のサポートが追加され,"リモートホスト" Javadoc がサポートされるようになった。
Java EE の開発者にとっては,新エディタの限定子(qualifier)を生成するヒント機能や,CDI (Context and Dependency Injection) に特化した observers/producers/injectables インスペクタなどが,CDI サポートの改善を実感する部分だろう。Java 永続化 API のサポートも改良され,Bean バリデーションのサポートや JSF PrimeFaces コンポーネントライブラリなどが新たに組み込まれた。
アプリケーションサーバのサポートでは Oracle WebLogic 11g との統合性が向上した。デプロイ時間が短縮され,デプロイされた機能とアプリケーションを表示するサーバランタイムのノード表示が新たに追加されている。GlashFish の統合も更新された。サポート対象に GlashFish 3.1 が追加され,リモートインスタンスやデプロイ済アプリケーションを管理する機構が新たに用意される。Tomcat 7,および近く公開される JBoss 6 もサポートされている。
Web 開発者に対しては,シンタックスチェックとコードハイライティング,HTML 5 自動補完のサポートが HTML エディタに追加された。CSS3 のサポートも将来のリリースで予定されている。Mills 氏によれば 22万人のユーザを持つという人気の高い PHP 開発サポートでは,phpDoc 生成のサポート,"Rename" および "Safe Delete" リファクタの新規サポート,などの改良が行われている。
我々が 以前レポートした とおり,NetBeans 7 では Ruby および RoR はもはやサポートされない。
Eclipse が支配的なオープンソース Java IDE マーケットにあって,NetBeans は成長を続けている。Mills 氏が語ったところによると,およそ 88 万人の "アクティブユーザ" (すなわち,この製品に定期的に "実家への電話連絡" をさせているユーザ) が存在し,1ヶ月間のダウンロード数は 55 万に達している。目標はこれを 100 万程度にまで増やすことだ。ベータ版には 2010 年 11 月から今日までの間に,約4万件のダウンロードがあった。