2011年3月23日、MicrosoftはWindows Azure Toolkit for Windows Phone 7が入手可能であることを発表した。本ツールキットはCodePlexでダウンロード可能であり、Visual Studio 2010の拡張としてインストールされる。Microsoft Windows Phone 7向けに、Windows Azureを利用したアプリケーションを容易に開発できるように設計されている。
MicrosoftのAzure Technical EvangelistであるWade Wegner氏は、本ツールキットが開発者の生産性に寄与するかについて述べている。
例えば、ストレージ周りの新しい文法を覚えたり、アプリケーションに対する認証機能と認可機能を提供するメンバーシップ・サービスを構築することを必要としません。必要な措置を紹介するサンプルを提供しています。
続けて、Wegner氏はツールキットの主要な5個のコンポーネントをリスト化している。
- バイナリ – Windows Phone 7アプリケーションでWindows Azureを簡単に利用するためのバイナリ(例:ブロブやテーブル用のStorage Clientライブラリ)が利用可能です。それらのライブラリを既存のWindows Phone 7のアプリケーションに追加すれば、即座にWindows Azureストレージといったサービスを活用することが可能です。
- ドキュメント – セットアップ手順と設定、ツールキットの練習問題、はじめに、トラブルシュートのTIPSを含むドキュメントを提供しました。
- Dependency Checker – 待ち望まれていた通り、ツールキットを利用するために必要とされるものを確認する完全な依存検査ツールを提供しました。
- プロジェクトテンプレート – 新規アプリケーションの構築が容易になるプロジェクトテンプレートを生成するVISX(Visual Studio 2010 Extensionの開発単位)ファイルを構築しました。
- サンプル- ツールキットを完全に活用したサンプルアプリケーションをC#とVB.NETで提供しました。同サンプルはツールキットによって生成されるプロジェクトテンプレートの二つのうち一つに組み込まれています。
上記で述べているVSIX拡張は、開発者に“Windows Phone 7 Cloud Application”と“Windows Phone 7 Empty Cloud Application”という二つの追加テンプレートを提供する。どちらのテンプレートもWindows Phone 7プロジェクトとWeb Roleプロジェクトを含む。実行時には、片方のプロジェクトはデバイス側にデプロイされ、もう片方がAzureインスタンスとして有効化される。
ツールキットはデバイスから直接ブロブとテーブルにアクセスする手法をサポートするため、バイナリデータ(例:Phoneで撮った写真)と構造化データ(例:ゲームの高得点)をWindows Azureに格納できる。さらに同サービスでは、Azureのストレージへの標準的な認証方法やデバイス上の共有鍵に基づく認証方法とは別の認証方法を提供しており、開発者はユーザー名/パスワードの認証を使うことも可能だ。
Wegner氏が述べるには、次期バージョンへの作業は現在進行中であり、以下の項目を盛り込むとされている。
- Windows Azure上で実行するWindows Phone 7(他のデバイスも)に対する通知サービス
- Windows Azureキューのサポート
- サンプルアプリケーションの追加
- 多数のNuGetパッケージ
- SQL Azureのサポートとサンプル
- DataMarketのサポートとサンプル
同プロジェクトはまだ初期段階ではあるが、これらのツールキットはWindows Azureにデータを保存し連携するWindows Phone 7アプリケーションの開発者には役に立つものとなるだろう。