Google I/Oの2日目の基調講演において、Chrome Browser、Web Store、そして、Chromebookに関する重要な発表がいくつか行われた。このカンファレンスへのInfo特派員によるこの記事では、それらの新しい開発についてまとめている。
最初にGoogleのソーシャル担当上級副社長Vic Gundotra氏が壇上に上がり、世界中で600,000人以上の人々がライブストリームを見ているとコメントした。
その後、彼はChrome担当上級副社長Sundar Pichai氏を紹介した。Sundar氏は、オープンウェブがどれほど驚くべきプラットフォームになったか、そして、Chromeがこの数年にわたってどれほど成長したかについて語った。去年7000万人以上だったアクティブユーザが、今や1億6000万ユーザに達している。同時に彼は、彼のチームがMacやLinux上でChromeバージョン6が稼動するようにすることがどれほど大変だったか、最新の安定版バージョン11にまでつながる6週間リリースサイクルを遂行することをどのように決定したかについて言及した。Sundar氏はすべてのブラウザベンダーがウェブプラットフォームを推し進めようとしていることはよいニュースであり、すべてのベンダーによるHTML5 APIの進展はより一貫した体験をもたらしていると述べた。
その後、Ian Ellison Taylor氏はブラウザで利用可能な新しいAPIについて語り始め、次のような事例に焦点を当てた:
- 彼はApp storeにあるClicker appでユーザがウェブ上の動画を見ることができるようになる方法と、Chromeデベロッパーツールの利用によってこのアプリケーションの音声サポートを追加する方法について示した。それをするために、彼は要素インスペクタを使って、インプットフィールドを調査し、webkit-speed属性を追加した。
- 同じように、彼はGoogle翻訳が音声入力をどのようにサポートしているかについて示した。
Ian氏は2008年来Chromeにもたらされた非常に大きなパフォーマンス改善は“あなたがウェブ上で構築できるアプリケーションの種類を根本的に変化させた”と強調した。彼は現時点ではJavaScriptはもはやボトルネックではなく現在の焦点はグラフィックパフォーマンスとGPUアクセラレーションであると示唆した。後者はCSSとCanvas 2Dの両方を改善するが、Canvas 2Dはゲームとともにスプライトアニメーションにとって非常に重要である。GPUアクセラレーションがもたらすパフォーマンスの改善をデモするため、彼はMicrosoftのfish tankページを用いて、GPUアクセラレーションによって10倍のパフォーマンスの改善があると主張した。また彼は同等のMozilla fish tankページを見せ、そこでは、WebGLの利用によりさらに10倍のパフォーマンスの改善(計100倍)を見込めると主張した。
Ian氏はさらにTinkerCadサービスについて、このサービスはこれらの技術を使ってブラウザ内で3D設計を提供していると述べた。
Sundar氏はそれに続いて“スピードはChromeの裏にある基本的な土台であり”、“今日現在でのWebGLゲームは6ヶ月前よりも100倍高速だ”と語った。
彼はさらに続けて、ウェブストアについて語り、開発者がユーザにリーチしアプリから収益を得ることを手助けするものだと語った。彼は今日現在ストアは世界41の言語で利用可能であると発表した。
アプリケーションの流れを崩すことのないシームレスな支払い体験を創り出すことはChromeチームにとって大きな課題である。Vikas Gupta氏は“アプリ内課金”をどのように不自然さ感じないものにしたか、その結果ユーザがアプリの中に没頭し続けられるがそれでも安全で安心であるようにしたかについて語った。彼はコミックアプリの例をあげ、ユーザが実際のコミック本をダウンロードし読み始めた後で、支払いをするかどうかを決定できる様子を示した。ここでの大きな発表はこの課金プラットフォームはウェブアプリにたった一行のコードで統合することが可能であり、ウェブストアは均一に料金の5%しか(開発者に)請求しないということだ。
その後、Sundar氏はAngryBirdsのPeter Vesterbacka氏を紹介した。彼はその人気あるゲームのウェブバージョンをデモした。これは最近のハードウェア上では60fpsで動作し、非常にスムーズな体験をもたらす。AngryBirdsのウェブバージョンはWebGLで構築されていて、代替としてcanvasでも動作する。ハードウェアアクセラレーションによってユーザはHDバージョンも取得することができるが、ここにもより古いバージョンが代替として提供されている。また、このアプリはブラウザのローカルストレージ(App Cache)も利用するので、ユーザはゲームを完全にオフラインでプレイできる。さらに、GWTも使われていて、アプリはGoogle App Engineにホストしている。
次にAaron Koblin氏がJavaScript、HTML5、そしてことさらWebGLのパワーを見せつける“interactive music experince project(インタラクティブな音楽体験プロジェクト)”をデモした。
Sundar氏は続いてChromeOSについて語り、現代のノートPCが備えているBIOS、ハードウェア検出、カーネル、アンチウイルス、といったいくつかの“レガシーなもの”がノートPCでの体験をどんな風に“まったくもって複雑な体験”にしているかについて語った。そしてさらにChromebookについて語った。それは次のような特徴がある:
- 即座に起動する
- 常にネットワーク接続されている(従量制)
- 1日中つかえるバッテリを持つ
- デスクトップのChromeとの同期がとれる
- ユーザが“自分のものにクラウド越しにアクセス”することができる
- ウェブアプリが日に日によくなる(PCでのように日に日にデグレードしたりしない)
- セキュリティが最初から組み込まれている - 全てのユーザデータが暗号化され、Chromeサンドボックスがある
最初にChromebookプログラムに対して100万人の応募者があり、Googleは数千の機器を出荷した(Cr-48プロジェクト)。その後、GoogleはFlashのサポートに関してAdobeと、速度に関してはIntelと、そして他のベンダとも緊密に作業を続けてきた。
ChromeOSの製品マネージャKan Liu氏が続き、GmailからPDFをダウンロードして見せることでChromeOSのファイルマネージャについてデモした。同様に彼はメディアの利用についても、ローカルからの利用とMusicBetaのようなメディアサービスからの利用の両方についてデモをしてみせた。さらに彼は、写真管理とPicasaウェブアプリでのウェブ上での共有についても説明した。同じようにGoogleドキュメントの利用とサードパーティサービスがこれらのAPIを利用することが可能であり、これはGoogleが“ローカルファイルの世界をウェブアプリに開こうとしている”からだ、という事実を強調した。
その後で、Sundra氏は彼のチームがGmail、Googleドキュメント、カレンダーがオフラインで動かせるようにするためにどれほど必死に作業したかについて語った。この機能はすでにGoogle内部では利用可能であり、この夏に一般に公開されて利用可能になるだろうと述べた。
彼は続けて、2つの最初のChromebookを見せて、6月15日にSamsungとAcerから市場に出ることになっており、それは“完全なジェイルブレイク機能が組み込まれている”と語った。
さらにChromebookと管理のためのコンソールが1ユーザ月額28ドル均一料金で企業向けに利用可能になるということも語られた。同様のプログラムは学校や政府機関に対しても準備され、1ユーザの料金は月額20ドルである。これらの提供も6月15日に始まる。さらなる情報はGoogle.com/chromebookで見つかる。
Dionysios G. Synodinos はウェブエンジニアであり、ウェブ技術にフォーカスしたフリーランスのコンサルタントである