プログラミング言語Scalaの作者Martin Odersky氏とAkkaの作者Jonas Bonér氏は、Greylock Partnersが率いるシリーズAファイナンスで300万ドルを調達し、新しい会社Typesafeを立ち上げた。プレスリリースより:
オープンソースのTypesafe Stackを発表します。これはプログラミング言語Scala、 ミドルウェアAkka、開発者向けツールの最新リリースを統合して、Scalaを使ったソフトウェア開発を簡単にして加速します。
「これまでの世代のアプリケーションアーキテクチャはシーケンシャルコンピューティングに由来しており、活力を失っています。これはミドルウェアススタックでも見られます」とOdersky氏は語っています。「Typesafeによって、私たちは最新のソフトウェアアーキテクチャを導入します。これは並列分散コンピューティングのために設計され、拡張性と信頼性に多大な利益をもたらします。さらにTypesafeは、Scalaがエンタープライズ分野における既存のJava資産と100%相互運用可能であることをお約束します」
発表と同時にScala 2.9とAkka 1.1もリリースされた。Scala 2.9は並列コレクションを導入する。これは、配列、ベクター、マップといった通常のコレクションを、マルチプロセッサで自動的に分散処理されるよう並列コレクションへと変換する。Akkaは「JVM上の次世代の、イベントドリブン、スケーラブル、フォールトトレラントなアーキテクチャのためのプラットフォーム」だ。
Erlangと同様、AkkaはActorモデルとlet it crash / embrace failureモデルを採用している。Actorと「Software Transactional Memory [..] は、抽象レベルを上げて、正しく並行かつ拡張可能なアプリケーションを構築するためのすぐれたプラットフォームを提供する」(詳しくはInfoQにおけるAkkaの記事を参照)
ScalaとAkkaはこれからもオープンソースソフトウェアとして利用することができ、Typesafeはその商用サポートを提供することになる。
Typesafe StackはTypesafeの共同創業者であるScalaの作者Odersky氏とAkkaの作者Jonas Bonér氏、そして、プロジェクトに大きな貢献をしているエンジニアのチームによって支持されています。Typesafeはオプションとして、Typesafe Subscriptionを通した商用サポートとメンテナンスを提供します。また、JavaエコシステムにおけるScalaの利用と生産性を拡大するために、ドキュメント、トレーニング、コンサルティングサービスを提供します。そして、過去20年間に企業がJavaの関する技術と人材に投資してきた何十億ドルもの資産を守ります。
TypesafeのアドバイザリーボードにはJavaコミュニティにおいて著名な人物が2名が含まれている。Javaの父であるJames Gosling氏と、並行処理の専門家であるDoug Lea氏だ。
InfoQはMartin Odersky氏と話す機会を得て、彼のプランについて詳しく聞くことができた。去年、あなたはScala Solutionsという会社を立ち上げましたね。どうしてまた新しい会社を始めるのですか?
Scala Solutions (Scalaの会社)はSwedenのScalable Solutions(Akkaの会社)と提携しました。Scala SolutionsはTypesafeの完全な子会社になります。
InfoQ: 1月にEPFLのScalaチームは230万ユーロのヨーロッパ研究助成金を獲得しましたよね。これはTypesafeにどう関係しますか?
助成金はEPFLのScalaチームのためのものです。このチームはScalaに組み込まれる次世代並列ドメイン固有言語の分野で、スタンフォード大学と密接に協力しています。それらが十分に成熟したら、Typesafeは企業向けに研究の重要な部分を開発する予定です。
InfoQ: Eclipse向けのScala IDEは最近かなり進歩していますが、TypesafeはこのIDEやその他のツールに投資し続けますか?
もちろんです。私たちは最高級の開発環境が不可欠であることを認識しています。この分野に投資するリソースをさらに増強するつもりです。また、TypesafeはSBTをサポートして、Eclipse IDEとの密接なインテグレーションに取り組みます。
詳しくは、新しいTypesafeのWebサイトを参照。ここからTypesafe Stackをダウンロードできる。またTwitterでフォローしよう。