先日リリースされた ECMAScript 262 5.1 には,前回のメジャーバージョンでのバグ修正に加えて,オンライン JavaScript の互換性テストスイートである Test 262 が添付されている。
JavaScript (Netscape) および JScript (Microsoft) の標準化を推進する非営利標準組織である Ecma International が ECMA-262 バージョン 5.1 を発表した。今回のエディションは,ECMA 5.0 におけるいくつかのバグと編集ミスの訂正を目的としたものだ。EMCA 5.0 はブラウザ間の一環性を向上する目的で,2009年12月に発表されている。技術的に重要な訂正の全リストと 5.1 エディションに関する説明が 同標準 (PDF) の付属書 F に記述されている。
今回のエディションに追加された中で最も重要なのは ECMA テストスイートである。各ブラウザの言語サポート方法の検証を目的として,10,000 以上の項目で構成されたこのテストは,http://test262.ecmascript.org で実行が可能だ。Microsoft と Google はそれぞれが IE Testing Center と Sputnik から,どちらも 5,000 件以上のテストを提供している。その リストは公開されていて,標準化団体はそれを更新した上で,12 月には Ecma Technical Report として公開することを約束している。
Microsoft はいち早く 主要なブラウザを対象としたテスト を実施した。その結果 IE 10 PPB2 がテストの 99% をパスすること,Firefox と Chrome がそれに続いていること,しかし Opera においてはパスするテストが 65% と,標準 JavaScript の実装において遅れをとっていること,などが明らかになっている。
挽回が必要な Opera 以外の主要ブラウザについては,近いうちにすべて,あるいはそれに近いテストをパスするものと期待されている。
すべての主要ブラウザ開発企業が HTML5 および ECMAScript 標準への合意で一致していることは注目に値する。これはユーザの視点で統一された Web エクスペリエンス,提供サービスにおける競合,そしてそれらを取り巻いて形成されるエコシステムのために非常に重要なものだ。少なくともこの面では,Microsoft と Netscape が Web エクスペリエンスの覇権を掛けて,多くの点で相互互換性のないブラウザを提供して激しく争ったような過去とは明らかに違っている。