OpenSocial 2.0 は新たなコンテナ,OAuth 2 サポート,エンベッデトエクスペリエンス,アクティビティストリームなどの新機能を加えて,Attlasian, Cisco, IBM, Jive, SAP など複数の企業から Facebook プラットフォームの代替として支持されている。
OpenSocial は,さまざまなソーシャル Web サイトの相互コミュニケーションをサポートする API セットだ。実装するすべての Web サイト上で,API を使用したアプリケーションが変更の必要なく動作することを目標にしている。フレームワークとしては,Google ガジェット(gadget) の機構に依存している。アプリケーションは HTML + CSS + JavaScript のコードで記述されて,XML のエンベローブに格納されている,という具合だ。ガジェットは,ガジェットコンテナ(container)を実装した web サイト上にロードして実行することができる。Apache Shinding プロジェクトが,コンテナのリファレンス実装として作成されている。
2007 年に発表され,Hi5,MySpace,orkut,Netlog,Sonico,Friendster,Ning,Yahoo! といったソーシャルサービス提供企業の支持を得た OpenSocial は,ソーシャルコンピューティングの汎用プラットフォームという Google のビジョンの実現であり,いずれは大規模な採用を獲得して Facebook の独占に対抗するはずだった。しかしながら,それに必要なクリティカルマスを獲得することができなかった。OpenSocial には最初から,多くの問題があったのだ。Wikipedia の記述に従えば,利用可能なコンテナを持っていたのは当初は Google だけであった。それは Orkut 内で稼働していたのだが,このソーシャルネットワークは広範な支持を得ることができなかった。しかもガジェットの多くは正常に動作せず,あらゆる種類のエラーに見舞われた。さらにセキュリティ機構が脆弱で,攻撃者がユーザの音楽のプレイリストをクラックして書きかえるのに 20 分もかからないほどだった。
それでも Google は,今なお OpenSocial を推進し続けている。最新バージョンである 2.0 では,企業にとってさらに魅力的な新機能をいくつか追加した結果,Alfresco や Attlasian, Cisco, eXo, IBM, Jive, Lockheed Martin, SAP, SocialText などに 標準として採用され,対応コンテナが開発されている。以下は 先日発表された新機能 のリストである。
- アクティビティストリーム (Activity Streams) のサポート: リッチかつ詳細なソーシャルアクティビティを定義する機構
- ガジェットフォーマットの簡略化
- エンベッデドエクスペリエンス (Embedded Experiences): ガジェット内でのサービスの実行
- OAuth 2 サポート – ただし API サポートが不完全なため,現在はインキュベートモードである
- 共通コンテナ (Common Container) – ガジェットとの対話性を向上した,コンテナの新仕様 – 同じくインキュベーション
- 実質的に使用されなかった ATOM サポートを非推奨に設定
Dion Hinchliffe 氏によると,ビジネス向け Google+ では OpenSocial 2.0 がサポートされる 予定のようだ。その他,前述した企業もおそらく,それぞれの組織内で実装を行うだろう。しかし OpenSocial が Facebook に対抗し得るほどの大きな支持を,世界的な規模で得られるかどうかは不明である。