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Mozilla,ネイティブアプリよりも Web を支持

原文(投稿日:2011/08/25)へのリンク

Mozilla は Web API の開発に着手した。Web API は,通常ネイティブアプリケーションからのみアクセス可能なデバイス機能に対して,Web アプリケーションからアクセスするための API セットであり,すべてのモバイル OS に共通な Web アプリケーションの記述が可能なクラスプラットフォームソリューションの開発を目指すものだ。

Mozilla は1ヶ月前,Chrome OS タイプの Web OS 開発を目的とするプロジェクト Boot to Gecko (B2G) を立ち上げた。そのターゲットにはネットブックだけでなく,Android 互換のスマートフォンやタブレットも含まれている。Gecko と Android をベースとする B2G は,ネイティブアプリのエクスペリエンスを置き換え可能な Web エクスペリエンスの拡張を目標とする。しかし Mozilla がこのような OS の完成を本気で目指しているのか,それとも B2G FAQ で示唆するような,他のブラウザ開発メーカが自身のブラウザに組み込める Web 技術の開発が目的なのかは明らかではない。

Boot to Gecko (B2G) はオープン Web のための,完全にスタンドアロンなオペレーティングシステム構築を目標とするプロジェクトの初期調査段階です。製品の提供ではなく,その基礎を築くことを成果に置いています。...

B2G の開発を B2G 上でのみ,あるいは FireFox でのみ動作するアプリケーションに結びつけたいとは考えていません。私たちのやっていることと,今日のプロプライエタリなモバイルスタックとは,重要な違いがあります。私たちは Mozilla の競争的優位性や,Web の競争的優位性を求めているのではないのです ...

理想を言うなら,B2G が先鞭を付けた,あるいは再定義した技術がすべてのモバイルブラウザで利用されることによって,オープンな Web アプリケーションがオペレーティングシステムあるいはデバイスに縛られることなく,すばらしい成果を上げることができるようになれば,と思っています。他の OS やブラウザの開発者たちと標準化活動,さらには実装作業において,ともに作業できることを楽しみにしています。

B2G は大きく4つの領域に分かれて開発される。WebAPI の他,Web ページやアプリケーションによる WebAPI アクセスの安全性を保証する Priviledge Model,Android 対応デバイス用のブートローダである Booting,移植あるいは新規に開発される アプリケーション である。

HTML5 が具体化しつつあるが,統合された Web 開発エクスペリエンスを実現するためには,さまざまなレベルの機能 – USB やカメラ,加速度計など – に対して,API のみを使ってアクセスできる必要があることに変わりはない。Mozilla が今回手を付けたのはその開発であり,最初のステップとなるスマートフォン用 API セットは3~6ヶ月以内の公開が予定されている。

WebAPI には,次のような機能が用意される予定だ。

  • ダイアラ: Telephony & Messaging API, Contacts API
  • アドレスブック: Contacts API
  • SMS: Telephony & Messaging API, Contacts API
  • クロック
  • カメラ: Camera API, Filesystem API
  • ギャラリ: FireReader (開発済) および FileWriter をベースとする Filesystem API。IndexedDB 上にファイルを抽象化することも可能。
  • 電卓
  • セッティング: Device Status API, Settings API
  • ゲーム: Accelerometer API, Mouse Lock API
  • マップ: Geolocation API,Contacts API

API の実装が完了すれば,ネイティブアプリケーションに非常に近い Web アプリケーションが記述可能になるはずだ。しかも API の実装担当者たちを別にすれば,各モバイル OS 用にアプリケーションを書き直す必要はなくなる。この計画の成功には,API が主要なモバイル OS 開発者すべてからの支持を受けることが必要だ。Mozilla のテクニカルエバンジェリストである Robert Nyman 氏は,オフィシャルな記事で次のように説明している。"[WebAPI の] ドラフト仕様と実装プロトタイプは完成後,標準仕様として W3C への提出を予定しています。" ただし Geolocation API など,W3C でも開発済の API がいくつかある。これに対して Mozilla が改めて提案をするのか,あるいはクロスプラットフォーム Web 開発に必要な API すべてに単に参加することになるのか,明らかになっていない。

API には今後,Apple,Google,Microsoft の3社による採用と参画が求められる。ArsTechnica の意見では,Apple の iOS に対する初期のビジョンは HTML に基づくものだった。また Google は,可能な限り Web 標準を推進する企業として知られている。Microsoft も Windows 8 で HTML5 UI に取り組んでいて,ブラウザから PC のハードウェアにアクセスする API にも関与している。したがってこれら3社が Mozilla のアイデアを支持するという期待はできるが,W3C がこれら API の構築に Mozilla の WebAPI をベースとするのか,あるいは他の大物企業の提案を採用するのかに関しては,現時点ではまだ分からない。

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