Aeolus は,さまざまなプライベートクラウドおよびパブリッククラウドを対象として,複数の仮想マシンを管理するソリューション提供を目標とするオープンソースプロジェクトだ。プロジェクトを立ち上げたのは Red Hat だが,同社の所有ではないオープンクラウド管理ソリューションとして開発するため,他の企業からの協力を求めている。
Aeolus は機能面で RightScale と非常に近い。RightScale は Cloud.com と Eucalyptus,Rackspace を共通で管理するクラウド管理コンソールおよび 統合 API を提供するもので,近日中に EC2 のサポート追加も予定されている。Aeolus は現在,Red Hat Enterprise Linux 6.1 または Fedora 14 をインストールした64ビット機で動作し,Amazon Elastic Compute Cloud (EC2),Rackspace Cloud Hosting,Red Hat Enterprise Virtualization (RHEV),VMWare vSphere および/または Eucalyptus を対象としてデプロイされる仮想イメージを管理することができる。
Aelous は OpenStack と比較されることもある (Register あるいは ITWorld) が,この2つを比較するのは適当ではない。OpenStack は Amazon EC2 のようなオープンソースクラウドを目標としていて,現に Rackspace ではクラウドホスティングのソリューションとして利用されている。一方の Aeolus は新たなクラウドプロバイダではなく,ユーザが選択したクラウド (Rackspace も対象に含む) にデプロイされる Windows あるいは Linux の仮想イメージ生成に使用する,マシンテンプレートを作成するソリューションだ。この形式のソリューションには2つの利点がある。ひとつは,すべてのクラウド開発の管理が単一ポイントで可能なことであり,そしてもうひとつは,イメージが必要に応じて移動可能であるため,ベンダによるロッキングを回避できることである。
Aeolus は複数のプロジェクトで構成されている。クラウドリソースを管理する Conductor,テンプレートからイメージを生成する Composer,イメージのグルーを操作する Orchestrator,独立性と回復性,通知機能によって高可用性を提供する HA Manager などである。プロジェクトのソースコードは,依存するプロジェクトとともに GitHub にホストされている。
他のオープンソースプロジェクトと同じく,Aeolus の成功も健全で活気あるコミュニティの形成に懸かっている。Red Hat には Linux Fedora と JBoss による名声があり,それが Aeolus プロジェクトへの開発者たちの参加意欲を高めている。彼らの参加がなければ,Red Hat 自身が今後も開発努力を続けなければならないことだろう。