BUILDカンファレンスに先駆けて、MicrosoftはSilverlight 5 RCを発表した。このお気に入りのブラウザプラグインに対する疑う余地のないコミットメントを示したことになる。Silverlight 5には多くの新しい機能がある。GPUを使った、2Dおよび3Dグラフィックの描画、リモートビデオコントロール、P/Invokeのサポート、ブラウザ内信頼アプリケーションのサポート、性能とツールの改善。
PDC 2010、特にキーノートではSilverlightについてはほとんど触れられなかった。さらに、Bob Muglia氏が“私たちの[Microsoftの]戦略が変わった”と発言したことで、この情報不足は決定的になった。これによって、Microsoft内外の開発者はSilverlightの未来に対して大きな疑問を持つことになった。Silverlightへの投資を止めるのではないかという懸念を払拭するため、MicrosoftはSilverlight FireStarterというイベントを開催し、Scott Guthrie氏がSilverlight 5のロードマップを示した。今年はこんなことがないように、Windows BUILDカンファレンスの2週間前にSilverlight 5 RCを発表した。このカンファレンスは主に、Windows 8とHTML5を取り上げる予定だ。このRC版はSilverlight 5向けのアプリケーションを準備している開発者向けであり、最終的なリリースは今年の後半になる見込みだ。
Silverlight 5の新しい機能は、
メディアとリッチなUI
- H.264 HDがGPUを使うことでハードウエア的にデコードされる
- TrickPlay – ビデオを異なる速度で再生できる
- ビデオ再生中はスクリーンサーバが動かない
- ビデオリモートコントロール
- DRMサポートの改善
グラフィックとアニメーション
- ブラウザがIE9の場合のWindowlessモードを含む、GPUを使った3DグラフィックAPI
- GPUを使った2Dグラフィックの描画
- アニメーションUIでの状態遷移。例えば、リストにアイテムを追加するのをアニメーションで表現できる。
テキスト
- ピクセルスナッピングによる、より明快な表示
- マルチカラムテクスト
- コンテナ上でのテキストフロー
- ダブルクリックとコンボボックスタイプのサポート
性能
- ネットワーク遅延の低減
- XAMLパーサの速度改善
- 64ビットOSのサポート
ツール
- Visual StudioによるCPU、メモリ、スレッドのプロファイルが可能
- VS Team Testをサポート
その他
- P/Invokeのサポート。ネイティブ関数を呼ぶため
- TPLタスク
- ベクタ(Postscript)印刷
- ブラウザ内信頼アプリケーション
- PivotViewerコントロール
Silverlight 5は多機能であり、Microsoftはこのプラグイン技術に対するコミットメントを明確にしようとしている。しかし、BUILDカンファレンスで起きることをを注視して、このコミットメントを間違いなく確認する必要がある。MicrosoftのHTML5への投資はどうなるのか。私たちのビジネスはWindowsやLinux上のMonoに限定された、成熟した技術に対して投資するべきか。それとも、HTML5を使ったクロスプラットフォームソリューションを模索するべきか。ひょっとしたら歩み寄りが必要なのかもしれない。Windows向けのリッチなビジネスソリューションはSilverlightの方が上手くなじむだろう。一方、ほとんどどんなプラットフォームでも動くシンプルなウェブアプリケーションはHTML5の方が向いているかもしれない。