Amazonは、AWSでホストされたサービス（Webページは、デバイスにプッシュされるため、プリロードと準備されている）と単一の接続を維持する、SPDYを使ったWebKitベースのブラウザであるSilkを開発した。効果：高速なブラウズ、デバイスの消費電力減少、セキュリティの向上がある。
Amazonは昨日、 Silkと呼ばれる新しいブラウザを搭載したAndroidベースのタブレットであるKindle Fireを販売した。Silkは、閲覧と ブラウザのサブシステム（ネットワーク、HTML、CSS、…、レンダリング）に異なるアプローチを取っており、タブレットとクラウドの境界として、ブラウザは、AWSで実行するのか、ローカルで実行するのかを動的に決定する。AWSでは、Silkによって読み込まれるページの画像、JavaScript、CSSファイルのキャッシュが無制限に見えるため、「実際のデバイスのストレージを1バイトも使用しない」とAmazon Silkソフトウェア開発のディレクタであるJon Jenkins氏は言う。これは、Kindle Fireの8GBという小さな内部メモリによい効果がある。
AWSサービスは、配信前にコンテンツを準備してSilkにページを送る。たとえば画像は、配信と読み込みをより早くするために、それらをより小さく解像度に応じて自動的に縮小される。ブラウザは、Amazonのサービスへの単一の接続を維持し、追加のコンテンツが必要になったときのリクエストを受ける準備をしている。 またSilkは、他のコンテンツがリクエストされたときに、サーバーがページをインデクス化することができるため、サーバーがHTMLと一緒にどんなコンテンツが配信されるかを知っており、HTMLページすべてを取得するのを待つ必要がない。
ArsTechnicaによると、Silkは、JavaScriptコードをAWS上で実行して、ARM向けにコンパイルすることができる。そして、読み込み時に標準Webサイトのページかモバイル向けなのかをユーザーの選択によって決定する。
Amazonは、このブラウザに関する他の技術的な側面について詳細を提供していないが、求人情報には、SilkはWebKitレイアウトエンジンをベースにして、SSLの上で動作するGoogleのプロトコルであるSPDYを多用することにより、HTTPによる待ち時間を短縮していると説明している。
Silkのアプローチは、ユーザーの振るまいのパターン、ユーザーの習慣による事前読み込みページを集めており、プライバシーに関する懸念が発生しているが、Amazonは、匿名でデータを集めることで、免責している。
過去に、他でもAmazonのコンピューティングリソースを使わずに、同じようなアプローチがあった。スマートフォンやPDA向けにデザインされたOpera Miniブラウザは、Operaのプロキシサーバーを経由して、圧縮されてページが読まれるため、読み込み時間とデータ転送量が２～3倍削減される。
Amazonのアプローチでは、ページの読み込みスピード、電力消費量によい影響を与え、より少ない接続とラウンドトリップでコンテンツが取り出せ、セキュリティに関しては、すべてのコンテンツが読み込まれる前にスキャンされ、SSLを使ったSPDYを使って転送されるため、セキュアである。 Amazonの主要なメリットのひとつは、AWSを通じてKindle Fireで閲覧したすべてのWebページに対するデータマイニングの機会が生まれることである。Googleは同じように、プロバイダのWebサイトを彼ら自身のサービス以外から最適化して配信するPage Speed Serviceというささやかな試みがあったが、うまくいっているとは言えない。もし、将来的にChrome OSで同じような実装がされたとしたら、興味深い。