Visual Studio の最新リリースを待ちわびる人たちにとっては,うるう年の贈り物だ。Microsoft は 2012年2月29日,Visual Studio 11 と .NET Framework 4.5 のベータ版をリリースする。2月23日に InfoQ は,VS11 の追加機能をいくつか紹介する Microsoft の ウェブ放送に参加することができた。1時間に及ぶプレゼンテーションでは,VS11 が新たに踏み込むいくつかの領域やコンセプトに関する解説を通じて,今回の次期リリースにおける Microsoft のアプローチの理念が示された。
VS11: 全体的なコンセプトとその目標
プレゼンテーションは Microsoft コーポレートバイスプレジデントの S.Somasegar 氏による,VS11 開発を取り巻く主要なトレンドと氏が考えている要素のリストアップから始まった。
- 消費者生活におけるデジタルデバイス (タブレット,MP3 プレーヤ,スマートフォンなど) の急増。これらの消費者は,このようなデバイスにいつでもアクセスできることを望んでいる。
- 中でもスマートフォンは,家庭生活とビジネス活動をオーバーラップしながら,1日中ユーザに使用されている。
- このようなさまざまなデバイスをすべて接続する方法の提供を実現するためには,結果としてバックエンドのインフラストラクチャ ("クラウド" のことだが,それに限定しない) が必要となる。Somasegar 氏はクラウドコンピューティングについて,業界にとって重要な転換点であるという考えだ。
- チーム環境で実施される現代的な開発を支援することの重要性とその継続的上昇。
- これまでコンピュータ操作はキーボードとマウスによって行われてきたが,タッチ操作の普及が進みつつある。
Somasegar 氏は,VS11 がほぼフィーチャーコンプリートに達したことに言及した上で,さらに Microsoft が実現を目指している3つの重要な提案を紹介した。
- 現代的なコンシューマ用およびビジネス用アプリの開発と構築の実現
- シンプルで生産性の高い開発環境
- コラボレーション&アジャイルベースのソフトウェアチームに対するサポート
VS11: 主な改良部分
次に Microsoft コーポレートバイスプレジデントの Jason Zander 氏が登場して,Microsoft の認識している技術トレンドをいくつか紹介した。最初に言及したのは,Microsoft のアジャイルソフトウェア開発プラクティスに関するサポートが3倍になった点だ。開発者へのサービス,さらに探索型テストのサポートを通じたテスト方法の改善なども意識され,目標とされている。
では,このようなコンセプトと注目点から,最終的に達成された結果は何だろう? 氏は VS11 において Microsoft がターゲットとするコア領域を次のように言っている。
- Windows 用の開発: WinForms,MFC,あるいは WPF を使用するデスクトップ Windows アプリケーションの構築とサポート。Metro ベースのアプリケーションもこのカテゴリに含まれる。DirectX ベースのアプリケーションやゲームも重要視されていて,デバッグや設計のサポートが VS11 に含まれている。
- クラウドとウェブ用の開発: この分野では .NET Framework 4.5 のリリースと,すべてのネットワーク関連アプリケーションのサポートが強化ポイントだ。ブラウザで動作する従来型ウェブクライアントアプリ,クライアント/サーバアプリなどがこれに含まれる。
- 開発者のエクスペリエンス: 開発者の大部分は上記の領域に該当するが,氏はユーザビリティを新たな重点とする VS11 の品質ツールによって,Microsoft がクラフトマンたる技術者の支援を望んでいる点に繰り返し言及した。
InfoQ では今後も VS11 ベータに関して新たに詳細情報が発表されれば特集し,さらなる調査を実施するつもりだ。