Meet Windows Azureという大きなイベントで、Microsoftは自身のクラウドプラットフォームに対する一連の重要な機能追加を明らかにした。これらの変更はネットワーキングおよびインターオペラビリティに関するWindows Azureストーリーを改善し、MicrosoftのIaaS市場参入への入り口となるものだ。
これまでMicrosoftのPaaSスタックは、Amazon Web Servicesなどのプロバイダが提供している従来のIaaSサービスとは異なり、非永続的な計算ノードを提供する「仮想マシンの役割」を果たしていた。これは、永続的なWindowsおよびLinuxマシンを生成、ホスト、管理できる新しいWindows Azure仮想マシンサービスにより変わることになる。Windows AzureユーザはプレビルドされたWindowsおよびLinux仮想マシンのテンプレートをブラウズしたり、自分の仮想マシン(VHDのみ)をWindows Azureクラウドにもってこれるようになる。Windows Azureの変更に関するブログ記事で、Microsoftのバイスプレジデント、Scott Guthrie氏は今後のIaaS機能について次のように説明している。
仮想マシンは永続的(そこにインストールしたものはリブートしても保持されることを意味する)で、どんなOSも使えます。ビルトインのイメージギャラリーには、Windows Serverイメージ(新しいWindows Server 2012 RCを含む)はもちろん、Linuxイメージ(Ubuntu、CentOS、SUSEのディストリビューション)も含まれます。一度VMインスタンスを生成すれば、ターミナルサーバーやSSHで入って、好きなようにVMを設定、カスタマイズできます(またオプションで、新しいVMインスタンスの生成時に使えるよう、自分のイメージのスナップショットをキャプチャすることもできます)。これはWindows Azureで大量の作業をするのに柔軟性をもたらします。
新しいオプションの提供に加えて、MicrosoftはWindows Azure仮想ネットワークという新しいネットワーク機能も導入した。このサービスはWindows Azureとユーザのオンプレミス・ネットワーク間の仮想プライベートネットワークを作るのに使われる。これまでWindows AzureユーザはWindows Azureマシンに対するポイント・ツー・ポイント通信しかできなかったが。Windows Azure仮想ネットワークを使うことで、コネクションの両端にある複数のマシンを含んだロバストなネットワークシナリオを導入できるようになる。
MicrosoftはまたWindows Azure Webサイト(これまでAntaresというコードネームで知られていた)を導入した。これはASP.NET、クラシックなASP、Node.js、PHPなどで構築されたWebアプリケーションをホストする仕組みを提供する。独自にセットアップされた仮想マシンを提供するコンピュートサービスとは異なり、Webサイトはマルチテナントで、非常に高速なデプロイメントをサポートする。WebサイトアプリケーションはMicrosoft SQL ServerやmySQLデータベースを使うことができ、またMicrosoftはWebサイト環境にデプロイできるWebアプリケーションギャラリーを提供している。このギャラリーにはWordpressのような人気のあるブログ、フォーラム、コマース、CMSアプリケーションが含まれる。Node.jsのような非Microsoftフレームワークを全面サポートすることに加え、Windows AzureはFTP、MicrosoftのTeam Foundation Server、Gitなど、さまざまなデプロイメントもサポートする。Webサイトサービスにはまだいくつか制限があるが、注目すべきは、ユニークドメインのSSL証明書を使えないこと、そしてカスタムドメインのサポートがないことだろう。また、この環境は未発表の.NET 4.5、Windows Server 2012、IIS 8で構築されたアプリケーションをサポートしていない。
既存のWindows Azureプラットフォームに対する最大の変更のひとつは、Webベースの管理ポータルの改良だ。以前は基本機能だけしかないSilverlightベースのWebサイトだったが、管理ポータルは幅広いデバイスからアクセスできるHTML5アプリケーションとして完全に書き直された。管理ポータルはWindows Azureサービスを使いやすくし、サービスの統合ビューを提供するためにある。ヘルスモニタリングや診断データといった新機能も導入されている。また、このポータルを支える新しいREST APIを使うことで、ほかのアプリケーションやクラウドプロバイダーがWindows Azureサービスをデプロイし管理することが可能になる。これまでVMwareのCloud Foundryをベースにしたクラウドプラットフォームを提供してきたAppFogは、Windows Azureへのデプロイメントのサポートを発表した。すべてのWindows Azureサービスが新しいポータルに集約され、新しいREST APIから利用できるわけではない。特にWindows AzureサービスバスコンポーネントはSilverlightベースのポータルのままで、移行の時期は決まっていない。
このWindows Azureリリースの一部として、開発者がWindows Azureアプリケーションを構築するのに使える各種SDKも一新された。.NET開発者向けSDKには、アップデートされたクライアントライブラリや、キューやトピックといったWindows Azureサービスバスコンポーネントのマッピングのための仮想インターフェイスが含まれる。Java、Node.js、PHP、Python向けのSDKも改善され、SDKのソースコードはすべてオープンソースのまま、MicrosoftのGitHubリポジトリで利用可能だ。開発者は新しいSDKにアクセスでき、プレビューアクセスをリクエストすることで新しいWebサイトと仮想マシンにサインアップできる。