QualcommのGimbalはAndroidおよびiOS用のコンテキストアウェアネス・プラットフォームだ。モバイル開発者が自分のアプリケーションにコンテキストセンシティブな機能を追加できるようにする。Gimbalを使うと、アプリケーションはユーザの好みや習慣、位置、時間に基づいて、デバイスにリッチメディア通知をプッシュできるようになる。
Gimbalは以下のようなコンセプトで動作する。
- Places(プレイス)。これは緯度経度で定義される世界地図上の位置で、PublicとPrivateの2種類ある。Public Placesはアプリケーション開発者によって生成、管理され、すべてのアプリケーションユーザやグループに関連付けられる。Private Placesはユーザのデバイスにあるアプリケーションによって生成され、だれとも共有されない。
- Geofences(ジオフェンス)。これはPlaces上に作られた、ある半径の円やポリゴンとして定義されるデジタルバリアだ。ユーザがGeofencesを横切ると、アプリケーションにそれが通知される。これを使ってアプリケーションはユーザに通知をプッシュできる。Geofenceイベントはバックグラウンドサービスによりトリガーされるため、アプリケーションが動いていなくてもイベント生成される。
- Interest Sensing(インタレストセンシング)。Gimbalはハードウェアセンサからのデータ分析、ブラウジング履歴、インストール済みアプリケーションといった情報を収集、分析することで、ユーザが何に関心を持っているかを判断する。デバイスがあるルールにしたがって接続されると、そのデータは夜間に分析される。
- Image Recognition (IR) (画像認識)。Gimbalはデバイスのカメラを向けたときに、いくつかのオブジェクトを認識できる。
- Communication(コミュニケーション)。特定のGeofenceイベントがトリガーされたとき、アプリケーション開発者はどんなリッチメディア通知をどのユーザグループに送るのか決められる。
Gimbalを使うアプリケーションはまず、ユーザが利用を望んでいるか、どの機能を有効にしたいかをユーザに確認する。また、ブラウジング履歴のような特定のデータは、アプリケーションから直接利用することはできない。利用できるのは分析結果だけだ。
GimbalにはオンラインManagerがあり、アプケーションのためのAPIキーの生成、Geofencesの生成、通知のセットアップ、ユーザアクティビティの分析に使われる。
GimbalはSDKとAPIを提供しており、サンプルアプリケーションとAPIドキュメント、利用例などが含まれている。SDKは現在フリーだが、Geofence、Interest sensing、IRそれぞれのサービスにつき5,000ユーザを超えると、$0.08/ユーザ/月の費用が発生する。
SDKを使うことで、アプリ開発者は大量のデータの意味を理解できるようになり、いろいろな潜在的用途を生み出せるだろう。Robert Scoble氏がMobile 3.0 arrives: How Qualcomm just showed us the future of the cell phoneという記事でこう述べたように。
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こうしたソリューションが現在抱えている問題のひとつは、大量のデータを収集、分析するのに必要な電力だ。Scoble氏はQualcomm Labsのプロダクト開発者、Roland Ligtenberg氏との会話についても言及している。Roland Ligtenberg氏は、ソフトウェアではなくハードウェアで実装すれば、データ収集および分析にそれほどバッテリーパワーを消費しないだろうと語り、Qualcommが作る将来のチップがGimbalを強化する可能性について、ほのめかした。