スクラムマスタとプロジェクトマネージャの役割に関する議論が blohsphere で続けられている。大勢を占めるのは,2つの役割を明確に区別して,両立や統合を不可能であるとするコメントだ。
Steve Hunton 氏は Scrumalliance ウェブサイトのブログに スクラムマスタはプロジェクトマネージャの別名ではない,という内容の記事を書いている。それによれば,
一般的な認識には反しますが,スクラムマスタとプロジェクトマネージャの役割には大きな違いがあります。混同すべきではありません。プロジェクト管理をアジャイルに移行する企業の数が増えるに従って,自分たちの目標を正しく理解せずに事に当たる人々の数も多くなっています。具体的に言うと,アジャイルにおける役割に対する認識が間違っているのです。ウォーターフォールのプラクティスから移行するに当たっては,各人の立場も合わせて移行するものと思いがちです。スクラムマスタはしかし,従来のプロジェクトマネージャの役割を行うのではないのです。
さらに氏は,
従来型のプロジェクトマネージャはリーダであり,意思決定者,計画立案者,プロジェクトやチームの取りまとめ役であり,プロジェクトの目標を達成するビジネス上の責任者でもあります。一方で,スクラムマスタの役割はコーチや進行役に留まりません。プロジェクトとユーザの間に位置する役なのです。スクラムマスタは作業チームの管理は行いません。そうではなく,製品オーナをサポートし,チームを指導し,スクラムプロセスを確実に進行させることが役割なのです。スクラムマスタはスクラムのプロセスとその妥当性,継続的な実施,そしてメリットの最大化に責任を負うのです。
PM Stack Exchange には "なぜスクラムマスタとプロジェクトマネージャは同一人物であってはならないのか" という問いに対する,一連の回答が掲載されている。
スクラムでは,チームが何をするのかのサポートと,どのように実行するのかのサポートとを区別しています。ひとりの人がその両方を担おうとすれば,多くの矛盾が発生することでしょう。交渉する立場と,チームが成長して意思統一する過程を支援する立場という,2重のストレスに満ちた状況を選ぼうという人がいるでしょうか。スクラムマスタは進行役なのです – プロジェクトを自身で抱えこんでしまって,どうやって進行できるというのですか?
Erin Beierwaltes 氏はさまざまな役割を区別するために,次のような説明図を提供してくれている。
ふたつの役割を重複できないものとするアドバイスや一般的合意があるにもにも関わらず,両方の役割を兼ね備えた人材 を求める採用担当者や雇用主の数は多い。これはどういうことなのだろう?
Shane Hastie 氏はアジャイルコーチ,トレーナ,コンサルタントとして,オーストラリアおよびニュージーランドのソフトウェア教育に携わっている。