数多くのインプロセスあるいは分散Javaプロファイラ製品が市場を賑わす中,jClarityはエンタープライズとクラウドとのニッチを対象に,作業の単純化を目的として設計されたツール群を提供する新しい企業である。
パフォーマンスチューニングの第一人者として著名なKirkPepperdine氏が,ロンドンのJavaコミュニティのリーダであるBen Evans氏をCEOに,Martijn Verburg氏をCTOに迎えて設立したばかりの同社は,現在3つの製品をラインアップしている。
- jPDM – Javaパフォーマンス診断ツール。そのマシンに特化したパフォーマンスチューニング上のアドバイスを自動生成する (検出したパフォーマンス上のホットスポットを排除するには,どのJVMスイッチを設定するればよいのか,というように)。
- Censum – ガベージコレクション・アナライザ。
- jMSR – CPUレベルのパフォーマンス指標を提供する,プロ仕様のツール。
Censumは本日(2012年12月11日),jPDMは2013年第1四半期のローンチが予定されている。jMSRのリリース時期は未定である。
ツールに関するサポートとトレーニングも同時に提供する。
InfoQは同社の技術者でCEOのBen Evans氏に話を聞いた。
製品のコンセプトについて教えていただけますか?
はい,"企業内外のためのJavaパフォーマンスツール" というものです – まずはオンプレミスとクラウドの両方で動作するJava/JVMベースのアプリケーションのために,軽量な解析ツールを提供することが目標です。
私たちが扱っているのは,高度な専門家の領域から職人芸的な領域までJavaのパフォーマンスをチューニング可能な,シンプルなアドバイスを提供する使いやすいツールです。
当社の製品は多忙なJava開発者や運用者に対して,極めて短時間でパフォーマンス問題の所在の確認や解決手順の判断を可能にします。
Javaのプロファイルツールはすでに多数あります。既存の分散プロファイラとはどのように違うのでしょうか?
パフォーマンス分析とプロファイルは同じではありません。コードが原因である場合には,実行プロファイラは非常に有用なツールになります。しかし問題がコードではなく,システムの他の部分にある場合,プロファイラから得られる情報は原因とは無関係なものばかりです。
当社のツールは,実行システムへの影響を最低限に抑えながら,システム全体を解析できるように設計されています – このオーバーヘッドを極めて低いものにするために,私たちは大変な努力を払ってきました。
その結果として当社のツールは,実行中のシステムへの影響が少なく,ネットワークに関連するデータの発生もほとんどありません。UIもシンプルです。そして何より重要なのは,パフォーマンス上の問題に対して日常語でプランを提案することが可能な点です。
私たちがユースケースとしてもっとも重要視しているのは,ハイパフォーマンスな金融システム,コンシューマ向けのクラウドアプリ,この2つです。これらのシナリオには,非常に軽いタッチで平易なことばで答えてくれるツールが必要です – しかし,その理由はまったく違います。この外見上違っている2つのケースの間に,実は非常に深い関連があることに私たちは気付きました。それによって,パフォーマンスに関する独自のビジョンを得ることができたのです。
対象とするのはどのようなユーザでしょうか?
ユーザとしては,多忙な毎日を過ごしているJava開発者や運用スタッフを強く意識しています。他の技術コミュニティからJava/JVMへの移行を検討している方々も対象です。
私たちが目標とするのはクラウドマーケットです(もちろんエンタープライズも忘れてません!)。PAASやIAASのプロバイダと協力することで,Java/JVMベースのアプリケーションのパフォーマンス上の問題を監視したり,彼らの経験する障害を解決するための手段をユーザに提供したいと考えています。
最終的には当社のツールセットを,クラウドアプリやエンタープライズアプリに従事するすべてのJava開発者に提供したいと思っています。
価格モデルはどうなっていますか?
最初の製品であるGCログ解析ツールのCensumでは,作業端末単位のデスクトップアプリ価格制を採用します。
続いて用意している主力製品(jPDM)では,PAAS業界の他のハイレベルなアドオンと同様な価格を設定します。つまり必要なもののみ購入すればよく,それ以外は必要ありません。
このような柔軟な価格体系によって,個人開発者やコンサルタントから大企業に至るまで,幅広いユーザを対象としています。
フリーのオープンソースソフトウェア(F/OSS)や多数のオープンソースユーティリティも提供して,コミュニティと共有しています。非営利あるいはF/OSSプロジェクトに対しては,ツールのフリー・アズ・イン・ビールのライセンスもサポートします。
jClarityのおかげで,たくさんのJava開発者や運用チームの仕事がずいぶんシンプルになりそうですね。最後に何かコメントをお願いします。
私たちのツーリングは簡単に操作できるように設計されていますから,コンピュータサイエンスのPhDを持っていなくても容易に理解できるような結果とアドバイスを受け取ることができます。
いわばBMWとF1マシンの作りが違うようなものです。F1は技術の粋を結集したマシンですが,運転するにはF1のトレーニングを受けたドライバが必要です。現実的な開発者には,彼らが実際に使用できる範囲を超えた確かさを持ったエンジニアリングツールが必要なのです。
同社について詳しく知りたい,あるいは製品を試用したいと思うならば,Friends of jClarityプログラムに参加するとよいだろう。