最新の Android Jelly Bean 4.3 リリースは、Google製モバイルOSとして、Ice Cream のときのような大きな変革をもたらすものではないが、いくつかのパフォーマンス改善や、数多くの小さな改良が実施されている。例えば、制限つきプロファイル、Bluetooth LE、Wi-Fi スキャンモード、Open GL ES 3.0、新しいセンサータイプ、などである。こうした変更点のほとんどは、Android 4.3 API のページでドキュメント化されている。以下では、これらの新しいAPIの要点について説明する。
制限つきプロファイル
Android 4.3 では、タブレット向けのマルチユーザ機能が拡張されており、端末の所有者は、複数の新しいユーザプロファイルを設定して制御することができ、アプリケーションに対する実行許可やコンテンツへのアクセス許可を各プロファイル毎にきめ細かく制御することができる。この機能は端末を様々な環境で使うように設定するためにも役に立つものである。例えば、ゲスト端末向け、キオスク端末向け、販売店向け、子供用の限定アクセス端末向け、等々である。
開発者は Android 4.3 対応をユーザにアナウンスする前に、自分のアプリケーションを再度検証する必要がある。なぜなら制限付きプロファイルによってアプリケーションが誤動作するかもしれないからである。例えば、プロファイル設定で動作が無効化されているAndroid標準のアプリケーションがあり、自分のアプリケーションがそれと連携している場合などである。また、制限付きプロファイル下では、ユーザはデフォルトではアカウントにアクセスできないようになっているため、この機能をつかうアプリケーションには影響が出るだろう。
Open GL ES 3.0
Android 4.3 は Khronos OpenGL ES 3.0をサポートしているが、実行するには特別な機能を持ったハードウェアが必要である。Nexus 4, Nexus 7 (2013) および Nexus 10 はこの機能を満たしているが、全てのデバイスがこの機能を持つわけではない。Open GL ES 3.0 は、新しいテクスチャ形式、テクスチャ圧縮のETC2、最新版のシェーディング言語、ジオメトリ・インスタンシング、GPUによる間引き技術、多重化レンダリングターゲットなどを提供し、さらに高品質なグラフィクスのための基盤を与えている。
コネクティビティ
Android デバイスの一部(サムソン SIII, モトローラ Droid RAZR, など)では以前から利用可能だった、Bluetooth Smart Readry が今回 Android の標準に加えられた。これにより、デバイスはBluetooth 低消費電力デバイスをみつけて、GATTプロファイルによるサービス項目を問い合わせる。このようなデバイスの例としては、腕時計や、ランニングシューズ、心拍計、その他などがある。
さらにGoogle は Wi-FI スキャン専用モードを可能にしており、Wi-Fi アクセスポイントに接続しなくてもスキャンできるようにすることで、位置精度の向上と電力消費の削減を図っている。
ユーザ・インターフェースおよび入力
新しい ViewOverlay クラス
により、開発者は、レイアウト階層に影響をあたえることなく、ビューの最上位に透明なレイヤーを作ることができる。これは、そのビューにフォーカスやユーザ入力を与えずに、ビューコンテナの外側へビューをスライドさせるようなアニメーションを作成する手段として使える。
新しい TYPE_GAME_ROTATION_VECTOR
フラグは、磁力センサーインターフェイスの影響を受けない、すなわち磁極に依存しない形で、デバイスの動きを検出するのに使える。
TYPE_GYROSCOPE_UNCALIBRATED
と TYPE_MAGNETIC_FIELD_UNCALIBRATED
フラグを指定したセンサーは、アプリケーションに生のセンサー入力値を与え、アプリケーションがセンサーの較正(キャリブレーション)をしなくても使うことができる。
テスト機能
新しい UiAutomation クラスは、開発者がスクリーンの内容を検査したり、キーボードやタッチスクリーンで発生するイベントを人工的に注入(インジェクション)できるようにすることにより、ユーザのアクションをシミュレートできるようにする。また、このクラスはスクリーンの向きを変えたり、スクリーンショットを取得したりするためにも使える。
Android 4.3 のその他の改良点は、マルチメディア、UI、通知、コンタクト、ローカライゼーション、アクセシビリティ、セキュリティなどに関するものである。