Scrum Allianceの創設者の1人であるMike Cohn氏はスプリントレビューの内容についてアジャイルコミュニティに反論し、未完成のプロダクトバックログアイテムを披露することも時には価値のあることだと述べている。
定義によればスプリントレビューミーティングは、スプリント最終日の前半に行われるもので、そこではチームが顧客にこのイテレーション(スプリント)の成果を見せる。このミーティングにおけるルールは以下のようなものだ。
- 完了した成果物と、計画されたが完了しなかった成果物を吟味する。
- 完了した成果物をステークホルダに披露する(「デモ」ともいう)。
- 完了していない成果物はデモしてはいけない。
- 制限時間は4時間。
Cohn氏は記事の冒頭で、上記の中でも主となるルールを補強している。デモでは、チームはイテレーションで完了した作業項目を見せることが許される、と。こうすることによって、顧客は確実に終わったもの、チームの「完成("Done")」リストに適合したものだけを見ることになるということが保証されるのだ。
さらにまた彼は、未完成のバックログアイテムを披露することをチームに許可することのリスクについてもこのように語っている。
- 本当に完了した作業の進捗状況は虚偽。
- 顧客の期待はますます高まり、ミーティング中に議論されたアイテムはすべて当然完成(またはもう少しで完成)だと思ってしまう。
しかし、こういったミーティングの主な目標はステークホルダからのフィードバックの獲得であるということから、彼は、時には未完成の成果物を見せるのも価値のあることだと述べている。「たとえば、次のバックログアイテムのビジュアルデザインが皆の期待にあっているのかどうか、あなたがコメントを欲しいと思う人が全員いるということもあるかもしれません。ならどうぞ。そのフィーチャーを見せてフィードバックをもらうのです」
Cohn氏の投稿にはたくさんの様々な回答やフィードバックがついている。たとえばИлья氏はこんなふうに書いた。「(Cohn氏は)未完成の成果物を見せてもいいんだと教えることによって、危険な箱を開けようとしています。(中略)たしかに、完成("DONE")になったものだけを見せるのは大変だし、ある種の勇気が必要なのもわかりますが。」
一方Adam Myhr氏は、スプリントレビューミーティングで未完成の成果物を見せることについて、「スプリントレビューの目的以外の何かを達成するために、このルール破りが行われるように見えます。私にとっては、これはスクラムフレームワークを正しく使うための機会なのです」と述べている。
未完成の成果物を話題にしているディスカッションはいくつかある。Programmers Stack Exchangeのスレッドで、GuyR氏はさらに一般的でないアプローチに触れている。「スプリントレビューでは、プロダクトオーナーはスプリントチームやステークホルダから隔離された状態で、完成かどうかについて判断を下します」。この場合は、バックログアイテムは完成したか否かに関わらず披露される。