Matt DeBergalis氏がMeteorバージョン0.7.1をリリースした。oplogとminimongoの改善,CSSプリプロセス,Meteor開発者アカウントなどを備える。
バージョン0.7.1ではminimongoのサポートが追加された。Meteorブログでの氏の説明によれば,これは"MongoDBクエリ言語の更なる秘所"とでも表現すべきものだ。また,ドキュメントに配列のある場合の挙動や$nin, $ne, $notのサポート改良など,Mongoの動作と一致する部分もさらに増えている。
minimongo(Meteroのクライアント用Mongoエミュレータ)の改善の他にも,次のようなCSS処理やソースマップの改善が行われている。
- CSSスタイルシートプロセッサにソースマップのサポートが追加された。 LESSによるスタイルシートのコンパイルに使用される。
- CSSミニフィケーションが@import文を正しく扱えるように改善された。
- 不正な@ディレクティブのためのCSSファイルのLint機能。
- インポートしたLESSファイルの推奨サフィックスが.lessimportから.import.lessに変更された。スタイルをインポートするための.import.stylが追加された。.lessimportも引き続き利用可能だが,非推奨となっている。
OplogはMeteor 0.7.0から利用できるようになった機能だが,DeBergails氏によると,0.7.1リリースでは"oplogドライバのサポートするMongoDBのクエリセットが拡張されて,製品版アプリで一般的に必要なクエリの大部分がサポートされるように"なった。
バージョン0.7.1では,MongoDBのリアルタイムなデータベース更新を可能にするように,oplog tailingの実装が改良されている。MongoDBからの不要なデータフェッチを回避する最適化機能と同時に,"$whereと$nearを覗く全操作のサポート"も追加された。
Meteor 0.7.1では開発者アカウント(Developer Accounts)がローンチされた。デプロイしたアプリの管理や,アプリのデプロイ時にアプリ毎の旧パスワードの置き換えを行う,開発者用の新しいログインシステムだ。
アプリのデプロイ時,開発者はEメールアドレスの入力を要求されるようになった。Meteor開発者アカウントのメリットはさまざまだ,とDeBergalis氏は述べている。コマンドラインからのログインとログアウトを可能にすることで,"Unix的な優しい感覚でMeteorのwhoamiを入力可能にすると同時に,他のMeteor開発者にアプリのデプロイやデータベース,ログへのアクセス許可を与える認証動作を実行"できる。スイート全体のオプションを確認するには,コマンドラインからMeteorのヘルプを入力してみるとよいだろう。
Meteorコミュニティでアプリケーションを開発する開発者たちに対しては,Meteor開発者アカウントでサインイン可能であることが通知される。accounts-githubあるいはaccounts-facebookパッケージでGitHubやFacebookのアカウントにサインインできるのと同じような方法だ。
バージョン0.7.1では,依存性に関する定義も多数更新されている。例えばnode: 0.10.25 (0.10.12から更新)については,0.7.0にあった特定のNodeバージョンに対するワークアラウンドが削除された結果,0.10.25以降がサポート対象となったものだ。その他の更新としてはcoffeescript: 1,7,1 (1.6.3から),websocket-driver: 0.3.2 (0.3.1から),jquery-waypoints: 2.0.4 (1.1.7から)などがある。jquery-waypointsに関しては,後方互換性のない変更になる。
Hacker NewsでのDeBergails氏の0.7.1リリース発表へのコメントで展開された,単純なRailsアプリに対するリアルタイム機能の追加に関する議論の中では,user igiana氏が "Meteor.jsはとてもクールだが,製品レベルに達していない"と評している。
それに対して氏は,"そんなことはありません - - Meteorはすでに実用的に運用されているし,複数のサーバで稼働しています" と反論している。
0.7.1のリリース直後に0.7.1.2がリリースされた。コミュニティからの反応に対応して,コンピュータ名を設定した際にMac OSX上でクラッシュが発生するバグを修正したものだ。同時に非oplogコレクション上でTailable Cursorを使用した場合にアサーションが発生するという,MongoDBに起因するバグも回避されている。
本体から独立したアップデートとして,Meteorの新しいUIエンジンである"blaze"のrc-0が発表された。これに伴ってバージョン0.8では,Sparkが完全に排除される予定だ。
Googleのmeteor talkグループではユーザのGadi Cohen氏が,次のようにコメントしている。"まさにこれですよ!今回のリリースは,0.7.1での改善とともにMeteorが成熟したことの確かな証拠であり,Meteorトレインの早期採用というリスクを負う意思のあるスタートアップにとっては,究極的に快適かつ刺激的です。"
Meteor 0.7.1リリースの発表 -- そしてMeteor開発者アカウントの発表 -- には,Twitterでのフォロワーを含む広範なJavaScriptコミュニティから,極めて肯定的な反応が寄せられている。
The Meteor PodcastのホストのひとりであるRy Walker氏は,今回のアップデートへの感想を聞かれて,"0.7.xアップデートもすばらしいですが,私は0.8や1.0を心待ちにしているのです -- その頃にはさらに多くの人たちが,@meteorjsに注目してくれているでしょう"と答えている。
Meteorコミュニティ内で4月ないし5月と想定されている1.0リリースを控えて,Meteorコミュニティはますますの拡がりを見せている。Meteorは2012年,GitHubレポジトリとしては第3番目にスターが付けられたオープンソースプロジェクトであり,そのリリースは,Hacker Newsの歴史上で最大のものだった。