アジャイルチームのグループ単位での業績考課と賞与,報償は,チームワークを促進するための業績評価の新しい選択肢だ。個人単位での業績考課や評定,賞与は,特にアジャイルの作業環境においてはチームワークを損なうものだ - アジャイルコーチでトレーナのPhalguna Ramaraju氏は,業績考課を取り上げた自身のブログ記事でこう述べている。
人事部門のリーダを務める上級管理職は,アジャイルチームの行動特性について熟知しておく必要がある。自己組織化とチームワークを尊重した人事施策をするべきだ。個人単位の業績指標は,アジャイルチームのチーム文化には相応しくない。
個人単位のインセンティブや報償が実施されれば,チームのメンバは,個々の目標に向かって"目隠しされた馬"のレースように行動するでしょう! だとすれば,個人的な報償を離された彼らに,共通の目標を意識させ,協力させるモチベーションは何でしょうか?
Mozaic Worksでアジャイルコーチとトレーナを務めるFlavius Stef氏は,人事部門と業績考課に関する自身の意見を,先日のブログ記事で公開している。アジャイルチームにおいてもっとも重視すべきなのは,チームのパフォーマンスを向上することだ,と氏は言う。
パフォーマンスを向上のためには,マネージャは可能な限りチームの近くにいて,絶えずフィードバックを提供すると同時に,チームと共同でパフォーマンスの定義や評価を行う必要があります。その上で,個人ではなく,あくまでもチームとしてのパフォーマンス向上に主眼を置かなくてはなりません。
報償や評定はチームをベースとして決定されるべきだ,という氏は,チームに対して賞与を割り当てて,それをメンバで分け合う方法を提案している。
CapterraのプロダクトディレクタであるCristina Stensvaag氏は自身のブログで,Capterraの新たな試みとして,さまざまな部署や技能,経験とバックグラウンドを持った社員が,共通のゴールを目指して共同作業するグループ構成について述べている。成功を判断するための条件は,そのチーム自身が定義する。同時に氏は,人事管理ツールを使用した段階的な目標管理についても言及している。
パフォーマンス評価用のソフトウェアソリューションの多くでは,個人単位の目標設定と達成管理に加えて,段階的な目標の設定管理も可能になっています。ここで"段階的"というのは,より大きなグループとしての目標に対する個人目標の整合性であり,さらには企業の最上位の目標達成に対するグループの貢献度を意味するものです。
ブラジル企業Fonte Medicina Diagnosticaの業務執行取締役であるClaudio Pires氏は,自身の会社の報償システムを変更した。氏はHappy Mellyのブログ記事 "Merit Money" で,賃金システムのメリットを次のように説明している。
"... 360度評価に基づく評価システムがあったのですが,時間が掛かり過ぎていました。そこでMerit Money Systemを利用することにしたのです。" これは全社員が毎月,同じボーナスを支給されるという,非常にシンプルなシステムです。さらに同社では,これを仮想貨幣で行うことにしました。ひとつだけルールがあります。受け取ったお金は自分自身で所持することはできず,誰かに与えなければなりません。あなたの会社のために,頑張ってくれている人は誰でしょう? その人に報いるのです。