O'Reilly Mediaのコンテンツ戦略担当バイスプレジデントを務めるMike Loukides氏が,DevOpsの文化的変化を取り上げた2年前の記事 “What is DevOps” をアップデートした。
今回の改訂では,DevOpsムーブメントの文化的ルーツを改めて書き記すとともに,開発者と運用スタッフ間に限定しない,組織の他部分にまで広がる協力と連携の重要性に注目している。
DevOpsはツールの話ではありません – 文化であり,開発者と運用担当者という領域をはるかに越えるものなのです。
DevOpsムーブメントの文化的基盤については,Ingineering.ITの創設者でプリンシパルのJeff Sussna氏も注目していて,“Empathy: The Essence of DevOps”には,関与するチーム間に不可欠な関係性は共感である,と説明されている。
DevOpsとは,開発者とシステム管理者の報告先が同じVPだということではありません。共同でJenkinsサーバを立ち上げたり,クラウドでアプリケーションを実行したり,GitHubにコードをリリースすることでもありません。開発者がPaaSにコードをデプロイすることでもありません。DevOpsの本質,それは共感(empathy)なのです。
チーム間の共感を向上するには,開発チームと運用チームを同じ場所に配置する,同じスタンドアップに参加する,あるいは一緒にランチに出かけるなどの方法がある。すべては,共感を促す環境作りを目指すためのものだ。
チームの間にこのような関係を作り上げるには,トップダウンマネジメントはもはや適切ではない。CFEngineの創設者でCEOのMark Burgess氏が“The Promises of DevOps”で指摘しているように,開発者と運用技術者の間には利害の対立がある。新機能をできる限り早く開発しようとする開発者に対して,運用側には,何らかの変更をすることで間違いが起こるリスクを受け入れる積極的な理由がないのだ。氏はDevOpsを,マネジメントの別の面である約束理論(Promise Theory)の観点から検証する。
DevはOpsの望むことを,OpsはDevの望むことを約束します。どちらも一定の比率で作業して,サプライチェーンを守ることを約束します。Opsがデプロイを約束できる速度でDevが供給する,といったようにです。
約束という表現を選んだことによって,見積が何の手掛かりもない部外者の希望的観測ではなく,責任あるエージェントによる正確な情報によるものであることが分かります。
このDev-Opsの関係は特別なものではない。これと同じような共同作業は,組織の他の部分にも当てはまる。例えば,マネジメントが目標を約束し,スタッフがその目標を一定の速度で達成することを約束する,といった具合だ。Mike Loukides氏がひとつの予測をする。
5年あるいは10年後に何が生き残ったか,何が成功したかを振り返ってみれば,コラボレーション,相互尊重と理解のコミュニティを構築し得た企業が,競合他社を圧倒している様子を見ることができるでしょう。
DevOpsはDevとOpsの単なる和ではない。下から上に向かって,企業の経営と文化全体に影響を与えるものだ。個人が企業全体のメリットのために働く環境の中で,さまざまなプレイヤが互いに約束を交わしてビジネスを存続させる,それがDevOpsなのだ。