AngularチームがAngularDart 1.0をリリースした。数多くの新機能とパフォーマンスの改善，バグフィックスが含まれている。同フレームワークとしては，これが，"実用レベル(production-ready)"と刻印された最初のバージョンになる。
AngularDartはAngularJSフレームワークをDart言語に移植したもので，Angularコアチームによって開発された。ディレクティブやデータバインディング，依存性注入といった，AngularJSにインスパイアされた機能に加えて，メタデータやタイプ，クラスといった，Dart言語のアドバンテージも活用している。同時に，Shadow DOMなどの新しいWeb標準をベースに構築された，最初のAngularのバージョンでもある。
1.0ではAPIのデザインが大幅に進化した。これによってAngularDartがより理解しやすく，使いやすいものになると期待される。すべての変更点はchangelogで確認できる。その中で注目すべきは，次のものだ。
- 式の評価が現在のスコープではなく，式を囲むコンポーネントのコンテキスト内で行われるようになった。
- コンポーネントアノテーション内のtemplateUrlとcssUrlは，そのコンポーネントを定義するライブラリに対する相対パスで解釈される。
- タッチモジュールが右スワイプと左スワイプをサポートするようになった。
- コンポーネントのインストールが40%近く高速になった。
InfoQでは，プロジェクトのトップコミッタのひとりであるVictor Berchet氏に連絡を取り，AnglarDartとその将来について，より詳しい話を聞くことにした。
今回のリリースでエキサイティングだと思う部分はどこですか？
私は今年初めにAngularDartを見付けて，コントリビュートを始めました。AngularDartはいつも，とても高速に動作しますし，どのリリースにも素晴らしい新機能が含まれています。その一方で，パワフルで優れたものを取り入れるために，後方互換性を犠牲にしなければならないこともありました。
ユーザに影響する変更のひとつは，式の評価コンテキストがその時点のコンポーネントになったことです。これによって，コンポーネントに名称を付けて(publishAs)テンプレートから明示的に参照する必要はなくなります。もう少しテクニカルではない言い方をするなら，AngularDartを使う上でのボイラープレートコードが少なくなる，ということです。
リリース1.0というのは，どのプロジェクトでも重要なものです。私たちは，現在のAPIとパフォーマンスに十分満足しています。
昨年の夏までは，機能の実装を重視してやってきました。AngularDartには，AngularJSにはない新機能とアイデアをたくさん導入しています。現時点で，重要な機能はほとんど完了していて，この２ヶ月はパフォーマンスが問題となっている部分の改善に費やしています。
この2ヶ月間，私たちはAPIをさらに洗練して，バグをフィックスし，パフォーマンスの向上を続けてきました。
1.0のリリースには，今後数ヶ月間，互換性を損なうような変更を行わないことを，チームとして約束するという意味もあります。
このフレームワークを実運用しているサイトをご存知ですか？
Google社内について言えば，AngularDartを基盤とするツールはかなりあります。
ユーザビリティやパフォーマンスを向上する上で，彼らのフィードバックは非常に貴重なものです。
AngularDartの進む方向について教えてください。近い将来には，何が期待できそうですか？
1.0がリリースされたばかりですので，今後数ヶ月で大きな変更があるという期待はしないでください。小規模なバグフィックスリリースはあるかも知れません。
NgEuropeでも発表したように，次の重要なものはAngular 2.0です。
Angular 2.0では，AngularJSとAngularDartが単一のコードベースになる予定です。Angular 1.0で導入されて成功を収めたコンセプトに基づくのはもちろんですが，さらなる拡張も行います。ただし現時点では，まだ開発の初期段階にあるに過ぎません。