JetBrainsがAppCode 3.1をEAP(Early Access Program)としてリリースした。Swiftサポートの改善されたIDEのプレビューを開発者に提供する。
今回のIDEリリースは,基本的な編集サポートやSwiftソースファイルの構文強調表示などといった,6月の3.0.1リリースで導入されたSwift言語の基本的サポートの上に構築されている。リリース3.1でSwiftを使う場合は,IDEの先進的な機能のほとんどを利用することができる。中でも特に,Swiftコードのナビゲート,編集,リファクタリングのサポートが改善された。
特に注目すべきなのは,Objective-CからSwiftへの解析サポートが追加されたことだ。これによって,2つの言語の相互運用性の処理が向上する。この機能では,AppCodeユーザには馴染みの深いクイックナビゲーションショートカットが多数使用されている。Swiftファイルのシンボルを強調表示することで,宣言やタイプ,スーパータイプへの移動や,使用部分の検索を行うことができる。
Swiftコードのリファクタリングもサポートされるようになった。名称変更リファクタリングを使用すれば,変数や定数,タイプ,クラス名を安全に更新することができる。この機能でもSwift解析が適用され,SwiftとObjective-C両方のソースファイルを対象としたリファクタリングが行われる。
このようにSwift言語のサポートは向上しているが,Object-Cの機能セットと同等なレベルには達していない。JetBrainsはリリースノートで,以下のような制限について認めている。
- Swift言語を使用する場合,コンパイル警告がエディタ内に表示されない。
- Swiftのコード補完は,言語のキーワードに対してのみ動作する。
- Swift言語用のコードフォーマッティングはまだ利用できない。
- Swiftクラスメソッドの使用部分の検索では,Objective-Cコードは解析されない。
- Swiftコード内の外部パラメータ名や短縮名,タプル要素は解析できていない。
今回のプレビューリリースにはさらに,Swiftに固有ではない改善点も多数含まれている。例えば,
- シンボリックブレークポイントのサポートが追加された。
- Gitインテグレーションの改善: コードブロックのロールバックのサポートや,“現在のブランチをここまでリセットする”Gitログ操作などを含む。
- “よりスマートなバックスペースキー”のサポート。ユーザのコードスタイル設定に従って,インデントや空白を削除する。
- デバッグ中,評価可能な変数を,エディタペイン内にインライン表示する(“インライン変数ビュー”)。
- JetBrainsのバグトラッカに概説されているような,70以上のバグフィックス。
リリースは現在,JetBrainsのEAPの一部として提供されている。 すべてのEAPリリースと同様,ソフトウェアは無償だが,30日の期間限定ライセンスで配布される。JetBrainsでは,プロダクトフォーラムやイシュートラッカを通じて,ユーザからの問題点提出やフィードバックを求めている。それらは,同社の今後の開発に反映される予定だ。
現在までのリリースへの反応は肯定的なものだ。あるRedditコメンテータは,Xcodeでは見逃されているSwiftエラーを検出可能なことについて述べている。Shazaamで以前に開発リーダを務めていたAndrew Ebling氏はTwitterで,リファクタリングサポートの有用性を強調した。
もっと安定したIDEバージョンを使用したい開発者は,最新の3.0リリースをダウンロードするとよいだろう。学生と教育機関,オープンソースプロジェクトには,無償ライセンスが提供される。 個人および企業向けの商用ライセンスも使用可能で,それぞれ99ドルと199ドルとなっている。