IBMが新たに提供するIBM Containersサービスは,Dockerのネイティブな機能と,新しいDockerオーケストレーションサービスを含む標準化されたインターフェースを使って,Dockerコンテナを直接,IBM Cloud上にローンチするものだ。
現在ベータ版のこの新サービスは,IBMのCloud FoundryベースのPaaSサービスであるBluemixの一部として,Dockerコンテナ間のプライベートテナントネットワーク,Bluemixエコシステム内の他サービスとのインテグレーション,コンテナをインターネットに公開するためのグローバルIPアドレスのアタッチのサポートなどを提供する。
IBM Bluemixに携わる優秀なエンジニアのBrian Martin氏は,この製品について,BluemixへのDocker技術適用の第1ステップであり,ユーザが基盤となるインフラストラクチャの管理から解放されて,ビジネスサービスの開発に集中できるようにすることが最大の目標だ,と述べている。
IBM ContainersはDockerのホスティングを任意のスケールで可能にする。仮想マシン(VM)のデプロイと管理,ロードバランサやファイアウォールの設定,あるいは手作業によるDockerエンジンの設定を行う必要はない。IBM Containersでは,ローカルで作成されたDockerイメージをIBM Cloudに載せて実行する,あるいは既存Bluemixサービスと統合する,ホストされたIBM ContainerをプライベートDockerイメージレジストリにストアして組織の範囲内でイメージを共有する,といったことが可能になる,とMartin氏は述べている。
IBM Containersサービスでは,IBMが提供するマネージドホスティングおよびクラウドコンピューティングであるSoftLayerから,Dockerコンテナを直接,ベアメタルサーバ上のIBM Cloudにローンチできるようになる。Martin氏はさらに,IBM ContainersのようなサービスとDockerイメージのポータビリティの組み合わせが現れたことによって,コンテナがパブリッククラウドと専用のソリューション,オンプレミスなハードウェアの間を簡単に移行できるようになり,ハイブリッドクラウドソリューションの開発が促進されるのではないか,とも考えている。
Martin氏は,Dockerデプロイ機能が主に単一コンテナのDockerイメージのデプロイを中心に据えている現状を指摘した上で,エコシステムを発展させるためには,ひとつのタスクを協調して完遂できるようなコンテナイメージのパターンないしセットを見出す必要がある,と論じている。それが見つかれば,これらのパターンをIBM Containersやクラスタ,あるいはクラスタセットにユニット全体としてデプロイすることが可能なため,Dockerベースのアプリケーションをクラウド上で,任意のスケールでテストできるようになる。
IBMはDockerCon Europeで,Docker Incとの戦略的パートナーシップも発表した。これによってIBMは,Docker Hub Enterprise (DHE)との統合ソリューションの販売が可能になる。DHEはDocker Hubの機能を拡張して,企業のファイアウォール内でアプリケーションライフサイクルを管理する開発者やシステム管理者のために,ワークフロー機能を提供する製品である。