音楽は,アジャイルとテストからの教訓を説明するためのメタファになり得る。Alexandra Schladebeck,Huib Schoots両氏は,Agile Testing Day Netherlands 2015での基調講演 “Where words fails, music speaks”の中でライブパフォーマンスを行う。InfoQはこのカンファレンスについて,(ライブ)ニュースやQ&A,記事で報告する予定だ。
InfoQでは両氏に,音楽とテストの芸術的関連性についてインタビューした。アジャイルチームはミュージシャンから何を学べるのか,アジャイルソフトウェア開発においてフィードバックが重要なのはなぜなのか。
InfoQ: 音楽的な手法をアジャイルテストのメタファとして利用しようというアイデアは,どこから来たのでしょうか?
Schladebeck: 私は自分の仕事の領域について,自分自身や他の人たちの理解を得るために,メタファや他の分野との比較をよく使っています。音楽を使おうというアイデアは,Agile Testing Days 2014のバーで,Huibと私が話していた時に思い付きました。どちらも同じ,Instrument(楽器,精密機械)をPlay(演奏あるいは操作)することに気付いたところから,このアイデアが生まれたのです!
Schoots: その夜だったでしょうか?何となく,真夜中過ぎだった気もしますが ... アジャイルやテストのレッスンを人々が体験したり,“表現”したりする方法として,音楽を演奏すれば面白いのではないか,というような議論もしました。
InfoQ: アートとしての音楽とアジャイルテストの類似点について,少し説明して頂けますか?
Schladebeck: ミュージシャンもテスタも,どちらもアーティストだと思います。明らかに共通することのひとつは,ミュージシャンとテスタの仕事への取り掛かり方です。どちらもすでに書かれたものに制約される一方で,創造性を発揮して“マジック”を加えることもできるのです。ミュージシャンでない人には分かりにくいかも知れませんが,音楽というのはそもそも実験的なもので,さまざまな要因によって変化する可能性があります。
Schoots: Alexとこの件を議論する中で,バイオリン演奏者が持っている,さまざまな運指の方法や弓の弾き方,トロンボーン演奏者の息継ぎの数などを試すことについて,ふたりで話し合いました。ソフトウェアの試験を行うテスタと,共通な点があるからです。それに,ひとつのコンテキストでは有効と証明された実験が,他では役に立たない可能性があることも共通しています。屋外で演奏するときには息継ぎの数を多くしなければならない,というようにです。
InfoQ: アジャイルチームがミュージシャンから学べることについて,いくつか例を挙げて頂けますか?
Schladebeck: ミュージシャンはさまざまな人数のチームで活動します。それぞれのチームには,その組織を管理する独自の方法があります - そして,あるタイプのチームから他のチームへと,スキルを移転することは可能ですが,違うチームで同じように振る舞うことはできません。
Schoots: 例えばクラッシックコンサートの真っ只中では,新しいチューンや新しいハーモニーを始めることはできません。ですが,セッションの中でならそれが可能なのです!チームにおけるミュージシャンの役割は,アジャイルチームでの役割に対する適当な比較対象になります。
InfoQ: ミュージシャンの練習方法や演奏方法から学ぶことができる点のひとつとして,迅速なフィードバックに言及されていましたが,これについて詳しく説明してください。
Schoots: ミュージシャンは,速いフィードバックの有用性を学びます。演奏で何かを間違えれば,必ず気付きますからね!それに対処するのは,特に最初は,とても難しいのですが,間違いを素早く修正して,次回のこのチューンでその部分に十分な注意を払うことができるのは,このフィードバックのおかげなのです。
Schladebeck: ミュージシャンにとって,このようなフィードバックサイクルを作らないという選択肢はあり得ません - また,アジャイルチームでは,可能な限りこのサイクルを短くすることを考える必要があります。確かに痛みは伴いますが,最終的にはよい結果につながるはずです。
InfoQ: その他に基調講演では,どのような話題を取り上げる予定ですか?
Schoots: ミュージシャンのように楽しませたいですね!ライブ音楽のステージと興味深い考察,アジャイルティストと音楽の類似点を紹介したいと思います。それ以上,あまり大げさなことは今は言えませんが,きっと記憶に残るものになると思います!
Schladebeck: その他に,小さな実験をいくつか計画しています。音楽を使った基調講演ならば,当然,観客も参加したいと思いますよね?!