Googleは先日、試験用のトランスポートレイヤネットワークプロトコルであるQUICをIETF標準として提案予定であることを発表した。さらに、GoogleはQUICの初期機能としてページロード時間短縮を可能にした。
2013年のQUIC導入以来、QUICを通じて提供されるGoogleサービスのトラフィック量は増え続けている。Googleによると「今日、ChromeからGoogleサーバへのおよそ半分のリクエストがQUICによって処理」されており、QUICが「ChromeやモバイルアプリといったGoogleクライアントからGoogleサーバへのデフォルトトランスポート」になる、とのこと。
Googleは自社で実施したパフォーマンス測定分析から「QUICがTCP上の確かなパフォーマンス改善を提供する」ことが明らかになったことを付け加えた。QUICが関連する改善は以下のとおり:
- 確立済み接続に対する利点となる低遅延の接続確立。このケースでGoogle検索によるページロード時間の3%改善をGoogleは測定した。
- 悪条件のネットワーク状態でのネットワーク輻輳制御と損失回復。このケースではGoogle検索のページロード時間の「接続の最短1%にあたる」まるまる1秒短縮と、QUIC上でのYouTubeビデオ視聴時に発生する再バッファが最小30%になることをGoogleは測定した。
QUICはTCPによるウェブ遅延の短縮化の取り組みとしてGoogleが作成したプロトコルである。Google曰く、OSカーネルやファームウェア実装の制約から「TCPに対する大きな変更はほとんど不可能」であるため、QUICはUDP上で構築されている。
Googleが可能にした「大きなユーザ基盤のオープンプロトコルから独自のプロトコルへの移行」は、大成功したサービスと有力なウェブブラウザがもたらす威力を示すものであるが、Googleが標準化プロセスの延伸、もしくは中止を判断することを危惧している、とHacker Newsのコメンテータは指摘した。同スレッドのもう一方のコメンテータはGoogleのQUICに係るプロセスはオープンで、誰でもそのニュースグループを通じてQUICの定義や開発に貢献することができることを指摘した。最後にChromeのQUICサポートはエンドユーザによって容易に無効化することができる点が重要だ。