この数年で、AndroidプラットフォームでのClojureによる開発がかなり進展している。開発者はSwiftKeyのClarity Keyboardのような一人前のアプリでClojureが使えるようになった。ここでは、AndroidプラットフォームでClojureをサポートするツールの現状についてレビューする。
これまで、AndroidにおけるClojureはその遅い起動に苦しんできた。標準のClojureを使った場合、Javaよりも4–10倍も長くなるおそれがあった。この問題はClojureのforkであるSkummetによって解決されている。SkummetはClojureのコンパイラを最適化し、よりコンパクトでより高速にロードできるバイトコードを生成する。コンパイラの最適化に加えて、最適化されたClojureのライタイムも含まれている。
Skummetは互換性を最大限保証することを目標にしている。ただし、Vars
を直接参照しているコードで問題になる可能性がある。Skummetの作者であるAlex Yakushev氏によると、たいていのClojureコードはそのままで互換性があるはずだという。
全体として、Skummetは単純なベンチマークアプリの初回起動において、ロード時間を4倍削減でき、APKサイズとヒープ使用量を2倍シュリンクできる。SwiftKeyのAdam Clements氏とBen Leavett氏によると、Skummetを使うことによって、Clarity Keyboardのロード時間を約1.5–2秒に保つことができ、さらなる改善も可能だという。
AndroidにおけるClojure開発に役立つ他のツールは、Clojure-Android Initiativeのプロジェクトにまとめられている。
- lein-droid: Clojure-Androidプロジェクトのビルドツールとして機能し、リソースのパッケージング、APKファイルの作成、その署名などの処理を行うLeiningenプラグイン。
- Neko: AndroidのJava APIの一部をラップして、Clojureからもっと使いやすくするツールキット。
Android用のNightwebアプリの作者であるZach Oakes氏は、こう言っている。Clojureは無愛想なイディオムを可能にすることで、アプリのコードベースを「びっくりするほど」小さくすることができ、プログラマが非同期タスクを実行しやすくすることで、アプリの反応性を改善することができる。
SwiftKeyのエンジニアらによると、Androidアプリの構築にClojureを使うことは、アプリの設計に大きな影響を与えるという。具体的には、Clarity Keyboardの場合、完全に「イベント駆動」な設計を採用することができ、イミュータブルなデータ構造の利用と相まって、ユーザアクションを簡単に格納して「再生」できるようになったという。またイミュータブルなデータは、モジュール度合いの高いアプリを構築し、すべての動作をデフォルトで非同期にするのにも役立ったという。