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BarclaysにおけるアジリティおよびDevOpsと地域文化との融合

原文(投稿日:2016/07/27)へのリンク

ロンドンで開催された初のDevOps Enterprise Summit Europeで,Barclays(訳注:英国に本拠を置く国際金融グループ)のサービス開発責任者を務めるJonathan Smart氏が,同銀行の世界規模でのDevOps展開(40カ国以上,13万人以上)を成功させる上で,(ビジネスないし地理的な領域に特有の)地域文化との融合がいかに必要であるかを解説した。原則は共有する必要があるが,プラクティスはその原則をそれぞれの地域文化に(必要なガイダンスとともに)適用した結果でなくてはならない。

Smart氏によると,Barclaysでは従来から,アジャイルとDevOpsを企業全体にスケールアップする取り組みを続けてきた。その活動は,枠にとらわれず,トップダウンとボトムアップをサポートするとともに,“ひとつのサイズがすべてに適用できる”という考え方を否定するものだ。形式的なフレームワークやプラクティスのトップダウンによる押し付けでは,優れたプラクティスの進展に期待できないばかりか,参加意識や信頼が損なわれることにもつながる。Barclaysでは,原則を共有することによって,アジャイル転向のライフサイクルやアジャイルの役割と管理のすべてが全チームに一貫している,と氏は言う。

さらに氏は,アジャイルをスケールアップする(ひとつのチームや文化圏で成功したパターンとプラクティスを他のチームや文化圏に無差別に適用する)のではなく,組織をスケールダウンする(サイロ化しがちな大人数のグループをホリスティックな機能ないし製品チームに分割することで,同じ作業をより早く,より少ないハンドオーバで実行可能にする)ことが必要だと述べるとともに,作業フローを改善する方法のひとつとして,最初に開発エピックを割り当てておくことで,最小限の所要時間と形式的管理によって作業上のセキュリティとコンプライアンスを確保する,“管理部族(tribe)”を挙げる。

アジリティ促進のためにBarclaysが採用した実践的な取り組みとしては,連合型DevOpsリーダシップフォーラム,DevOpsチャンピオン(地域文化の尊重と原則に沿った変革の促進,維持を両立するための自主性も認める),プラクティスのコミュニティ(認められた範囲内での経験共有),コーチング(業績責任という重圧を抱えた中間管理層を中心に)などがある。これらすべてが継続的実験の文化の確立に貢献する,“持続的な文化変革には何年もかかるもの”だからだ,と氏は結論付けている。

Barclayほどの成熟した組織がこのような進化の旅に乗り出すモチベーションとしてSmart氏は,近い将来の(英国銀行業のオープンAPIに始まり,間もなく登場するオープンバンキング標準による)さらなる透過性への要請(と規制)を指摘する。フィンテック(FinTech)の進展もまた,従来のマージンに比較して利益減少の原因となる。

 
 

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