.NET Frameworkの最新リリースでは,WPFとセキュリティを中心に,いくつかの新機能が提供されている – その中には,待望のClickOnceによるデプロイの改善も含まれる。Microsoftが.NET Framework 4.6.2プレビューをリリースしたのは3月下旬のことだった。今回そのリリースの新機能を,開発者が自身のプロジェクトで利用できるようになったのだ。
BCL(Base Class Library)での注目すべき成果は,ファイル名の最大260文字という制限が撤廃されたことだ。.NETの世界全体で開発者の悩みの種だったこの古くさい制限を,4.6.2が取り除いてくれる。今回の拡張のもうひとつのメリットは,以前のバージョンの.NET Frameworkを対象とするアプリケーションが4.6.2上で動作する場合,この新しい動作をオプトインで選択可能な点だ。これはつまり,アプリケーション設定ファイルのAppContextスイッチを使用することによって,.NET 4用の既存アプリケーションがMAXPATHの制限を受けずに4.6.2で動作可能である,ということを意味している。
Base Class Libraryの変更以外では,NullReferenceException
に関する情報をVisual Studioがより多く取得するための基盤がCLRに用意された点が,多くの開発者に歓迎されるだろう。これによってデバッガがnull
参照を識別可能になるので,その情報を提供してくれるはずだ。
ClickOnceを通じてデプロイされるアプリケーションには,クライアント認証の他にも,TLS1.1および1.2の新規サポートというメリットがある。これによってClickOnce経由で配布されるアプリケーションは,最新の暗号化プロトコルと,それによって実現するセキュリティの恩恵を受けられるようになる。
4.6.2には次のような暗号化に関する拡張も導入されている。
- X509証明書でFIPS 186-3ディジタル署名アルゴリズムのサポート
- 楕円曲線Diffie-Hellmanアルゴリズムを提供するクラスの使いやすさ向上
- 永続キーの対称暗号化のサポート
- SHA-2ハッシュ用SignedXmlのサポート(6つの新しいSHA-2アルゴリズムを含む)
今回のリリースに関する詳細については,MicrosoftのStacey Haffner氏が公開している。 氏は4.6.2の全変更情報やAPI変更の差分も提供している。MicrosoftからはWebインストーラ,オフラインインストーラ,開発者用パッケージが提供されている。Anniversary Updateを導入したWindows 10を実行している開発者のシステムには,すでに4.6.2がインストールされている。
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