Agile Manifest 2.0サーベイは,アジャイルソフトウェア開発宣言(Manifesto for Agile Software Development)が,今日の環境においてもなお適切かつ有効かどうかを調査するものだ。アジャイル/リーンコーチでスクラムトレーナであるKamlesh Ravlani氏が,アジャイルマニフェスト改訂の必要性に関する洞察を得るために作成し,アジャイルの経験とマニフェストに対する意見を持つ人すべてに対して公開されている。
InfoQは今回,このサーベイを公開した理由とサーベイへの参加者,調査結果の公開方法について,Kamlesh Ravlani氏にインタビューした。
InfoQ: アジャイルマニフェスト2.0に関する調査を開始したのは,どのような理由からだったのでしょう?
Kamlesh Ravlani: ユタ州スノーバードのスキーリゾートで,17人のライトウェイトフレームワーク実践者のアイデアからマニフェストが生まれて以来,すでに15年が経ちました。2011年にはアジャイルマニフェスト10周年の振り返りが行われて,その後10年間の主な論点が話し合われています。振り返り以降の5年間で,ビジネスマーケットの変化率は急激に上昇しました。企業は今や,顧客と顧客ニーズを取り巻くさらなる不安定性と不確実性に直面しています。製品の規模と複雑さも大きく増加しました。テクノロジも変化して,すべての業界の隅々にまで浸透し,新たな企業の興隆の速度を高めると同時に,既存企業に対しては進化か滅亡かの選択を迫っています。
最近のアジャイルコミュニティにおけるアジャイルマニフェスト更新の必要性に関する話題については,すでにご存知かも知れませんが,多くのアジャイル主義者たちが声をあげ,自身のマニフェストを提案し,記事として発表したり,基調講演で公開したり,あるいはソーシャルメディア上で議論したりしています。
私は公平かつ好奇心を持って,マニフェスト更新に関するこの議論を進めているものが何なのかを探してきました。果たしてこれはコミュニティ全般の意思なのか,それともごく一部のものなのか?
今回のサーベイを通じて私は,世界中のアジャイルコミュニティを対象に,アジャイルマニフェスト2.0の必要性を探りたいと思っています。
InfoQ: どのような人たちが調査に参加しているのでしょう?
Ravlani: アジャイル実践家組織のリーダ,アジャイルコーチ,トレーナ,思想的リーダ,それからアジャイルマニフェストの署名者たちに,今回のサーベイを通じて意見を求めています。この領域で5年以上の経験があり,アジャイルマニフェストを理解していれば,誰にでも参加の権利があります。
InfoQ: これまでの状況はどうなっていますか?
Ravlani: 調査開始から1週間も経っていませんが,すでに多くの業界の思想的リーダや企業のリーダから,洞察に富んだ回答が寄せられています。コーチからの回答が最も多く,次いで数十カ国の実務者からのものとなっています。
興味深いのは,開始直後は回答の75%がイエス,アジャイルマニフェスト2.0が必要だ,と言っていたのに対して,現在はイエスが44%,ノーが53%,その他が3%となっていることです。回答数が多くなれば,さらに変わってくるでしょう。
ある程度まとまったものにするために,2,000以上の回答を集めたい と思っています。そのレベルになれば,意見として無視できないものになるでしょう。
サーベイは9月15日まで実施されています。まだ回答されていない方は,アジャイルマニフェストに対するあなたの意見を公表してください。
InfoQ: サーベイの結果はどのように公表されるのでしょう?
Ravlani: できる限り多くの洞察を,アジャイルコミュニティと共有したいと思っています。分析結果をinfoq.comやScrumAlliance.org, Pulseといった,おもなポータルで公開した上で,主要なコンファレンスで講演するつもりです。
InfoQ: 結果公開後の次のステップは何ですか?
Ravlani: アジャイルマニフェスト2.0が必要だとコミュニティが決定したならば,クラウドソースのマニフェストにしたいと思います。その場合には,具体的な意見を収集するためのサーベイ/wikiサイトを用意します。回答者の多くがEメールアドレスを公開しているので,そういった人たちを招待して,最初に意見を聞きたいと思っています。
コミュニティ全体として変更や改訂が必要ないと判断した場合,彼らの考えや意見がコミュニティとして共有されることになります。
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