先日開催されたDart Developer Summit 2016での最大のニュースは,Angular 2 DartとFlutterだ。
開発から5年経ったDartだが,業界内でほとんど普及していない。TIOBE Indexでは一般的な言語の中で25位となっているものの,RedMonk RankingsやIEEE Spectrum Top Programming Languages 2016では言及すらされていない状況だ。それにも関わらずDartは,Google社内では主要言語としてサポートされており,同社の重要なプロダクトであるAdSenseとAdWordsの開発に使用されている。JavaScriptではなくDartを使用する理由について,同社は生産性をあげており,チームの報告では,開発スピードが25%から100%向上する,としている。AdSenseにはおよそ160,000 LoCのDartが含まれており,開発速度をほぼ倍増していると,新しいAdSenseについて詳述した先日の記事には紹介されている。
GoogleのDartチームは先日,ミュンヘンでDeveloper Summitを開催した。サミット期間中のニュースの中で,注目に値するのがAngularDart 2.0とFlutterだ。Googleは今年初め,Webアプリケーション構築に便利なツールを備え,コード品質とパフォーマンスの向上した,Angular フレームワークのバージョン2をDartで開発し,開発者に提供することを決定した。例えば,Dartの注目機能であるstrong modeを使用することで,Angular 2コードの1,000以上の警告が修正されている。
同時にGoogleは,Dartで記述されたAngular 2ライブラリをプレビューモードでリリースした。Material Designを実装したもので,Google内ではAdSenseやAdWordsを始めとするプロダクトで実際に使用されている。
Flutterは,AndroidとiOSのクロスプラットフォームアプリケーションをDartで記述するためのGoogleのツールだ。2つのモバイルプラットフォームを同じコードベースでターゲットとすることができる。他のツールとは異なり,Flutterはネイティブレンダリングには依存せず,Skiaグラフィックエンジンを使用する。これはAndroidやChrome,Firefoxで使用されているグラフィックエンジンで,フォントやハンドジェスチャを含むネイティブインターフェースを模倣するものだ。Flutterを使う最大のメリットはそのパフォーマンスにある,と開発エンジニアであるEric Seidel氏は述べている。
Flutterを使うことの最大のメリットは,Dart VMと関数型リアクティブフレームワークによる開発サイクルの速さです。iOSでもAndroidでも,ハードウェアでもエミュレータでも,Flutterを使うことで,秒以下の開発サイクルによるアプリケーションUIの追加やデバッグを経験できます。アプリの状態はリロード時も維持されるので,変更ごとにアプリを再起動する必要なく,作業の反復が可能なのです。“私たちの開発サイクルはミリ秒単位です。”
Flutterは開発者プレビュー中で,IntelliJ用のプラグインが提供されている。
この記事を評価
- 編集者評
- 編集長アクション