…… コミュニティ主導での仕様策定のためにホームとなる場所を作ることだ。Apache Software Foundation のようなオープンソースモデルにしたがうと、幅広く受け入れられる仕様を策定するためにコミュニティは法的要件を取り扱う必要があるが、このファウンデーションはそのための軽量な枠組みの構築を目的としている。
仕様策定にあたっては、みんながひとつの場所に集まって作業の共通化を行うという認識をもたず仕様ごとに別のファウンデーションを立ち上げる、という傾向がある。このファウンデーションはそういった傾向に終止符を打とうと試みている。メンバーシップ、運営、スポンサーシップ、知的財産権についての詳細は、数週間のうちにパブリックレビューとして投稿し、フィードバックを受ける予定だ。
ファウンデーションの詳しい細部について詰める際には、わたしたちは個人が議論に参加するよう奨励し、呼びかける。質問がある場合は、Q&A ページを参照してほしい。また、コミュニティに参加し、ファウンデーションでの開発をのぞむアイデアや仕様を議論してほしい。
OWF の賞賛に値する目標と、Google や Yahoo や O'Reilly やそのほかの企業(リンク)の協力を得ていることが、注目されているようだ。Dion Almaer 氏(リンク)はこの進歩にエキサイトし、こう述べている。
あなたが OAuth のようなすばらしいアイデアを思いついたと想像してみてほしい。そしてそのすばらしいアイデアには、けん引力となる人々、興味を持った人々が集まってくる。そのとき、あなたはどうするか。人々は知的財産のポリシーや運営方法についてあなたにたずねるし、あなたは突然、自分が MyApiFoundation という新しいファウンデーションを立ち上げなければならないことに気づくことになる。
だがちょっとまってほしい。世間にはたくさんの標準化グループやほかの組織がある。あなたは本当に MyApiFoundation を立ち上げなければならないのだろうか。
そう、W3C や OASIS がある。どちらも参加には会費が必要だ。彼らは仕様策定のための場所を提供してくれるけど、そこは MyApi には適さないかもしれない。WHATWG はとてもすばらしい仕事を思いついたけれど、知的財産のあつかいはやっぱり問題だ。
MyApi にはコードが含まれているし、Apache を使うというのはどうだろうか。でも、Apache はすばらしいコードの公開場所だが、ほかのものはあつかわない(それはそれでいいことだが)。ほかのものをあつかうのは Apache の役目ではないのである。ただし、Apache は特に運営やインキュベータ・プロセスにおいて非常にうまく仕事をしている。もし、同じ価値観をもった人々が集まり(企業とちがい、誰もが参加できる)、さまざまなコミュニティ(おなじ会社から来ている数名の人間のあつまりではない)で構成されるファウンデーションがあったとしたら、どうだろうか。
これが、わたしが Open Web Foundation に期待している理由だ。だれかがオープンウェブにとって役立つ何かを思いついたときに、その人の求めているものにマッチした新しい場所となるかもしれない。
OWF は、自分たちがほかの標準化団体と競合するものではないと言っている(リンク)。そうではなく、「コミュニティは現在のところ、場当たり的なやり方で集まっているし、もし彼らがしっかりした知的財産を手にするための手助けができれば、コミュニティが自分たちの作ったオープンな仕様を標準化団体にもっていくのがより簡単になる」ということだ。だが、別の標準化団体が必要だということにあまり納得していない人たちもいる。W3C や OASIS が会員費(ケースによっては高くなるが、個人会員が通常 500 ドル程度)を請求することがいつも理由として挙げられるが、Dare Obasanjo 氏が指摘するように(リンク)、それは別のグループを立ち上げるための十分な、あるいは重要な理由となるのだろうか。1992 年くらいに IETF(リンク) ができてからは特にそうだ。Dare 氏は次のように続ける。
Bill 氏もほかの人々(リンク)に同意し(リンク)、OWF には「自分たちにはそれを立ち上げることができるから」ということ以上に合理的な理由はないように思われると述べている。IETF のメンバーになる方法はこの上なく単純だ。メーリングリストに参加するだけでいい。わたしは RFC 4287 で Atom ワーキンググループのメンバーとして一覧に名前が載っているが(リンク)、それはなぜかというと、atom-syntax メーリングリスト(リンク)に参加しているからだ。この組織には、知的財産権について、よく考えられた詳細なポリシーがある。その内容は、RFC 3979: Intellectual Property Rights in IETF Technology (リンク)と、それを少しだけ更新した RFC 4879: Clarification of the Third Party Disclosure Procedure in RFC 3979 で詳細に記述されている IETF 仕様のとおりだ(リンク)。
Dare 氏は Google がこの活動に参加していることに対する疑問で投稿を締めくくっている。仕様の社会的そして技術的な方向性を完全にコントロールしたいと考える人たちのグループが彼らを締め出したがるのは、わかる。自分自身で OSS プロジェクトを始めるときに少し似ている(わたしは OSCON で公開された OWF に意義を見出さないが)。が、わたしは IETF や JCP や W3C で仕事をしたことや OASIS のすみっこにいたこともあるし、何か活動するときは、技術的にも政治的にも、絶対にこれらの組織のいずれかに加わるべきだと考えている。政治的にというのは、彼らが強い経済的観点をもっている以上(言い換えると、だれかの昼メシがかかっているということだ)、技術の仕様というのは OSS プロジェクトのようにはいかないからだ。それが OWF が存在する理由かもしれない。とはいえ、グローバルに利用される技術に必要なプロセスや知的財産権にかんする事柄をやりなおしたがる人がいるというのが、わたしには想像できない。その作業は決定的に大事だけど、最高につまらない。
大学を出たての若い連中が IETF のことを知らず、自分たちがオープンウェブを救うために車輪を再発明しなければならないと思い込んでいることは理解できる。が、おどろいたのは、 Google が、従業員の何人かが IETF のプロセスに参加し、RFC 4287(リンク)、RFC 4959(リンク)、RFC 5023(リンク)、RFC 5034 (リンク)を作成しているにもかかわらず、この活動に加わっていることだ。なぜ Google は IETF と競合する別の標準化団体を支援するのか。IETF に比べてプロセスの包括性にも欠けているのに(リンク)。企業のスポンサーシップがどのように働くかわかっていないのだろうか。知的財産権のポリシーをまだ決めかねているのだろうか。
この努力が実を結ぶのか、ひと時の盛り上がりで終わってしまうのか、見守っていかなければいけないが、OASIS、W3C、IETF はいずれも活発に活動しているし、OWF が近い将来に大きなインパクトをもたらすのは難しいかもしれない。
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