直近に開催されたMIX11カンファレンスにて、MicrosoftはWindows Azure AppFabric Caching Serviceの商用リリースをアナウンスした。当該サービスでは、Windows AzureやSQL Azureのパフォーマンスを改善するため、データをオンメモリに格納する。同機能は、Windows Serverで昨年6月に利用可能となったが、クラウド側への進出は初である。
Microsoftが高スケーラブルだと述べているAppFabric Caching Serviceは、単純な設定引用と容易な既存アプリケーションの適用のみで、データ型やサイズに依らないキャッシュ機能を利用することができる。また、AppFabric Access Control Service(こちらは現在Windows Azureで利用可能である)を介するためセキュアである。
データ型とアクセスパターンを伴う三つのシナリオを基に、MicrosoftはAppFabric Caching Serviceの計画と実装を勧めている。利用シナリオは以下となる。
- データ参照
原則的に読み込みのみ(例:製品カタログ等)
可能な限りローカルキャッシュにデータを格納し、定期的にデータを再読み込みする
- アクティブなデータ
読み込みと書き込みが行われる(例:ショッピングカートやセッションデータ等)
データが頻繁に更新されるため、キャッシュ層にデータを格納する
- リソースデータ
共用での読み込み、排他的な書き込み(例:オークションの入札等)
パフォーマンス改善のため、キャッシュ領域を複数に分割する
頻繁に利用するデータを自動的にキャッシュする透過層というより、AppFabric Caching Serviceは開発者が完全に制御可能なキャッシュとして提供される。AppFabric Caching Serviceはローカルキャッシュ(通常Webサーバ自身に格納される)にデータを格納する機能も持っている。当該サービスはWindows Azure Platformの一部であるため、自動的にパフォーマンス改善についての分割と最適化が行われる。
Windows Azure AppFabric Caching Serviceは4月末リリースを予定している。Windows Server AppFabric Caching Serviceの既存機能の一部(High Availability設定等)は初期バージョンでは利用できないが、Microsoftはクラウドプラットフォームとの統合を予定している。