Funfはオープンソースのモバイルデータ収集分析フレームワークだ。これは選挙キャンペーン中に政治的意見がどのように変化するか、ユーザがどのように交流するか、病気が集団にどう伝染していくかなどを調査するために、MITが利用してきたものだ。
MIT Media Labはオープンソースのモバイル機器向けセンシング・データ処理フレームワーク Funf Open Sensing Framework を開発した。基本的なアイデアは、ユーザの行動パターンを特定するために、携帯電話に収集アプリケーションをインストールし、ユーザによって実行されるあらゆるアクティビティを(あとで解析するために)トラックする、というものだ。MITのチーム はこのソフトウェアを使って「政治的意見、ダイエット、病気が集団へどう伝播するか意外な結論」を出した。このフレームワークはどんなアクティビティも分析できるよう拡張可能になっている。
Funfで利用されている基本コンセプトはプローブだ。これは携帯電話にあるローレベルのセンサー(加速度センサー、ジャイロ、近接センサー、温度センサーなど)により得られるデータを収集するソフトウェアモジュールだが、「アクティビティ・モニター」のようなハイレベルのデータ収集を行うプローブもある。
「アクティビティ・モニター」プローブは、例えば、満員電車で押し合いへし合いしている人のお尻にある携帯電話の加速度センサーのデータと、同じ人が早足で歩いたり階段を登っているときのデータを区別できます。任意の期間におけるユーザの物理的なアクティビティの数値スコアを算出できるのです。
Funfには、デバイス、位置、動作、環境、デバイス操作 – アプリ実行、スクリーン操作、ブラウザのブックマークなど、ソーシャル情報 – アドレス帳、通話履歴、SMSといったものに関する約30のビルトイン・プローブが含まれている。フレームワークは他のアクティビティをモニターするよう拡張可能になっている。
保護のために、収集されたデータは暗号化され、アドレス帳やSMSテキストなどセンシティブなデータはハッシュ化される。収集されたデータをユーザに関連付けずに匿名にするという選択肢もある。
フレームワークのソースコードが利用サンプルとともにGoogle Codeで利用可能になっている。コードには2つのコンポーネントがある。Android携帯にインストールするコレクターアプリケーションと、収集されたデータをSQLiteデータベースにアンパックするため、またデータを可視化するための各種スクリプトだ。APIによってFunfの機能をほかのAndroidアプリケーションに統合することも可能だ。
FunfはLGPLのもとオープンソース化されており、グーグル、サムソン、モトローラの支援を受けている。
ウォールストリートジャーナルが昨年、興味深い記事を掲載した。そこでは、携帯電話を使って人間の行動や交流を分析しようと試みている(Funfを含む)最近のプロジェクトと、これまで達成された成果、こうしたプロジェクトのプライバシーの問題について言及している。