先週、MicrosoftはWindows Azureの改善をリリースした。コストのコントロールと利用しやすさの改善に注力したリリースだ。今回のリリースではWindows Azure Web SitesのSSLサポートや新しい統合サービスが導入されたが、Microsoftの第一の狙いはAzureを開発やテスト環境で使おうと考えている開発者を取り込むことだ。
MicrosoftのバイスプレジデントであるScott Guthrie氏はブログで、今回の最新のリリースの内容について説明している。Guthrie氏の発表によれば、Microsoftは分単位での支払いができるプランに移行している。新しいGoogle Compute Engineも分単位の支払いモデルを使っているが最低10分利用しなければならない。Windows Azureにはこのような制限はない。
今までは、Windows Azure利用の支払いは時間単位でした。VMを6分だけ利用しても、1時間分の利用料を払わなければならなかったのです。今回のアップデートで、分単位で支払うことができるようになりました。VM(またはCloud Service、Web Site、 Mobile Service)を6分使った場合、6分間の利用料を支払うだけで済みます(時間単位の価格で分配しますので、[利用した分] × (1時間当たりの利用料) ÷ 60 となります)
また、Guthrie氏は仮想マシンを“停止”している間は課金されないことも説明している。これはAmazon EC2とは違う。EC2の場合、“実行”状態のサーバにだけ課金するが、課金を止めるためには、完全にサーバを停止しなければならない。氏はWindows Azureがどのように違うのか説明している。
今までは、利用者がWindows Azure上でVMが停止しても、内部では配置スポットを維持して、利用者が完全に配置を削除するまでは請求を続けていました。今回のアップデートによって、VMを停止したら、配置状態や構成は維持するものの、停止している間は請求をしないようになります。こうすることでアクティブに使っていないVMを止めて支払いを停止するのが簡単になります。再度使いたくなったら、また再開すればいいのです。
また、MSDNサブスクリプションを購入している開発者は開発とテスト用途でライセンスをWindows Azure上で利用できる。これで、Windows Azure 上で開発者がどのように合法的にMicrosoftのソフトウエアを使えばいいのかについての混乱が収束した。Guthrie氏はこの変更について説明している。
今まで、MSDNサブスクリプションで提供される開発/テストサーバライセンスをクラウド環境で使うことは(合法的には)できませんでした。また、MSDNサーバライセンスを製品用に使う権利は、私たちのクラウドでもどこのクラウドでも使えませんでした。
今回のアップデートによって、MSDNの利用権が変わり、Windows Azure上でMSDNの開発/テスト用のソフトウエアライセンスが使えるようになることを発表します。追加の利用料なしで、SQL Server、SharePoint、BizTalkなどのMSDNのサーバイメージをWindows Azureにインストールできます。
さらに、Microsoftは開発とテストでWindows Azureを使う場合、大幅な割引をすると発表した。MSDNサブスクリプションの購入者は1時間0.06ドルでWindows Azureサーバのテンプレートを利用できる。Guthrie氏は例として、典型的なWindows Azure仮想マシンでSQL Server Enterprise Editionを動作させた場合、1時間2.19ドルになるが、MSDNサブスクリプションの購入者は同じ構成を1時間0.06ドルで利用できる、と説明している。また、MSDNサブスクリプションの購入者は毎月、クレジットを受け取り、Windows Azureに利用できる。以前は、開発者は各Windows Azureサービス毎にクレジットを割り当てられていたが、このアップデートでMicrosoftはクレジットをまとめて、開発者が好きなように利用できるようにした。Guthrie氏は次のように説明している。
さらにこのディスカウントで注目すべきは、MSDNサブスクリプションの購入者には、開発/テスト用のWindows Azureリソースに利用できる毎月150ドルのクレジットが提供されるということです。MSDNプロフェッショナルの購入者には、50ドル/月、MSDNプレミアムの購入者には100ドル/月、MSDNアルティメイトの購入者には150ドル/月分提供されます。
これらのクレジットは開発/テスト用であれば、どのようなWindows Azureリソースにも利用できます。仮想マシン(WindowsとLinux)、SQLデータベース、クラウドサービス、ウェブサイト、モバイルサービス、Hadoopクラスタ、BizTalkサービス、ストレージなどに利用できるのです。以前までの古いMSDNに付属していたユニット毎の制限はなくなります。そのかわり、クレジットを好きなようにリソースに使うことができます。
Windows Azure BizTalk Services (WABS)も今回のリリースの中でGuthrie氏により発表された。2011年のプレビュー期間では、Windows Azure Service Bus EAI Bridgesというブランドで知られていたWABSはクラウドにホストされた統合エンジンでクラウド上のエンドポイントの接続や、オンプレミスシステムとクラウドのエンドポイントを接続できる。
Windows Azure BizTalk ServicesはBusiness-to-Business (B2B)とクラウド向けのEnterprise Application Integration (EAI)の機能とハイブリッドな統合ソリューションを提供します。パートナー間のEDIの関係を管理する機能をサポートし、オンプレミスとのEAIブリッジを提供します。オンプレミスのSAPやSQL Server、Oracle、Siebelと統合できます。Windows Azure BizTalk ServicesとオンプレミスのBizTalk Serverの配置を統合することもできます。強力でハイブリッドなソリューションを提供できるのです。
BizTalk Servicesはセキュアで専用の環境で動作し、オンデマンドで数分のうちに利用を開始できます。事前のライセンスは必要成りません。ユーザが選択した支払いのモデルだけがサポートされます。
さらに、MicrosoftはWindows Azure Web SitesサービスでSSLをサポートする。仮想マシンでウェブアプリケーションを提供するWindows Azure Cloud Servicesとは違い、Windows Azure Web Sitesは共用サーバ上のコンテナでピュアなウェブアプリケーションを提供する。今まではWeb SitesではなくCloud Servicesを使うひとつの大きな理由はSSLを使って安全なブラウジングを提供するためだった。今回のアップデートで共用インスタンスタイプからリザーブドインスタンスタイプにアップグレードする開発者は、ウェブアプリケーション用にIPアドレスベースのSSLバインディングかSNIベースのバインディングを使える。