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Eclipse Kepler リリース

原文(投稿日:2013/06/26)へのリンク

Eclipse財団がEclipse Keplerのリリースを発表した。71のEclipseプロジェクトと5,800万ラインを越えるコードで構成された,8度目の同時リリースだ。

Eclipse KeplerはEclipse 4.xプラットフォームの上に構築されている。昨年のEclipse Junoのリリース以降,将来にわたるプラットフォームの基礎として選択されたものだ。昨年の4.2リリース時には,3.8のリリースも同時に(ひっそりと)行われたが,4.3アップデートのメリットを4.xプラットフォーム以外で利用したいユーザのための,そのような3.9リリースは今回は用意されていない。

}Eclipse Junoのパフォーマンスに関しては当初,現実のユースケースでの最適化を求めるクレームがいくつも寄せられていた。これらには4.2.1リリース以降,中間アップデートサイトを通じて順次対応が行われた。さらに2013年2月の4.2.2リリースでもパフォーマンス改善が図られたのだが,そのときの経験から一部の開発者は,4.2プラットフォームにはアップデートせず,3.7プラットフォームに留まることを選択したのだ。結果として,Eclipseに対する満足度は依然として高いものの,明らかな下降傾向が見られるようになった。

Eclipseの新リリース採用について。今年,Eclipseとしては初めて,最新リリースであるEclipse 4.2の採用に顕著な減少が確認されました。過去の調査結果では,75%以上の回答者がEclipseの最新リリースを使用していると報告しています。例えば2012年の調査では,76,9%がEclipse 3.7(Indigo)を使用していると回答しました。しかし今年,Eclipse 4.2(Juno)を使用しているという回答はわずか56%に留まり,12.9%はEclipse 3.8を使用していると答えています。この採用のスローダウンは主として,Eclipse 4.2で確認されたパフォーマンス問題の結果だと思われます。

 

それと同時に,Eclipseに対する全体的な満足度も大幅に低下しています。「非常に満足している」または「満足している」と答えた回答者は,2012年の90%から,2013年には81%までダウンしました。よいニュースではありませんが,Eclipse 4.xプラットフォームの成熟に伴った対処が図られることを望みたいと思います。

幸運にもEclipse Keplerが同じ不運に苛まれることはなさそうだ。Eclipse 4.2でパフォーマンスを妨げていたバグは,4.2.2のリリースですでに制圧ないし克服された上に,4.3においても新機能の追加と同時に,全般的なパフォーマンス向上も引き続き図られている。

それに加えて,3.xリリースストリームは2013年1月以降メンテナンスされておらず,今後アップデートする予定もない。したがって4.2をスキップすることは可能であっても,新機能への移行を望むユーザにとっては,4.3が唯一のアップデートパスということになる。さらにEGitなどいくつかのプラグインは,すでに3.xリリースのサポートを廃止していて,4.x以降のバージョンのサポートに集中する予定である。

 

 

Holger Voormann氏は,Eclipseプロジェクトの発展に関して,3.0リリースの頃から独自の分析を続けていて,その内容をbreakdown of the projectsとして公開している。Keplerに含まれるほぼすべてのプロジェクトが,現在ではGitを使用している。リポジトリとしてSubversionの利用を続けているのは,107あるリポジトリ中8つに過ぎない。EclipseとGitHubの将来とも関連するこのトレンドは,今後も継続すると予想される。(EclipseのCVSはすでにシャットダウンされている。テスト目的のSVNレポジトリに用途を限定したSVNチームプロバイダが残っているのみだ。)

注目の新機能

EGit 3.0がKeplerの一部としてリリースされた。Gitツールとしての実行速度と使いやすさの面で,多数の改良が加えられている。Eclipse Gerritレビューサーバが先日,Gerrit 2.6にアップデートされたことにも相まって, EclipseにおけるGit利用は増加の一途をたどっている。Gitツーリングで注目の新機能は圧縮ビットマップの採用だ。これによってJGitは,ネイティブなcgitの実装よりも高速にリポジトリを操作できるようになる。

Mylynも今回のリリースで3.9となった。Bugzilla 4.4のサポートが追加され,Gerritサポートが2.5にアップデートされている。ただしGerrit 2.6のサポートは現在開発中で,おそらく近い将来,ポイントアップデートとしてリリースされることになるだろう。wikiコメントにMarkdownテキストも追加されているが,追加リポジトリを付け足しただけの内容だ。Eclipse財団のGerritレビューサイトは先日2.6に移行しているので,しばらくはMylyn ReviewsからEclipseの標準サイトを利用できないことになる。

Maven Web Toolingがリリース1.0に到達した。MavenベースのWebプロジェクトをWTP(Web Tooling Platform)に統合して,多面的にプロジェクトをサポートするツールである。先回のリリース時から開発が続けられていたが,1.0がリリースされたことで,今後はこのプラグインの安定性についても向上が見られるはずだ。

JDT(Java Development Tools)には,if/else文をswitch文に変換する小規模なリファクタリングの選択肢が追加された。またデバッグセッションには,論理的なXMLノード表示のサポートも追加されている。しかしJava8のサポートについては,仕様のリリースが未定であるために見送られたままだ。

最後に,同時リリーストレインの一部としてEclipse Orion 3.0がリリースされている。Eclipse OrionはWebベースのエディタ(OrionHubでライブデモを見ることができる)だ。JavaScriptで完全に書き直されていて,Gitベースのワークフローをサポートする。これまでに1.0リリースが2012年6月,2.0リリースが2013年3月に公開されている。既存のデスクトップベースIDEには及ぶべくもない,と思われるかも知れない。しかし,Eclipse Orionを構成するコンポーネントは他のWebサイトにも組み込み可能なので,他のWebサイト上でコードエディタや比較(diff)ツールを表示するために利用することが可能なのだ。

Eclipse Keplerは Kepler リポジトリからダウンロード可能だ。

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